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From:OCN 2020.10 vol.109 にっぽん深掘り紀行:広島・尾道を舞台にした映画や文人の足跡を巡る 〜『東京物語』から「尾道三部作」へと続く、ノスタルジーあふれる町〜/クイズに正解するとJCBギフト券が当たる!
にっぽん深掘り紀行
今月のテーマ:広島・尾道を舞台にした映画や文人の足跡を巡る 〜『東京物語』から「尾道三部作」へと続く、ノスタルジーあふれる町〜
にっぽん深掘り紀行とは?:身近な文化・なじみ深い著名人・広く愛される絶景…。「にっぽん深掘り紀行」は、毎月のテーマを深く掘り下げながら、日本各地の関連スポットをご紹介するコラムです。温故知新から見える新しい日本と、読んで味わう旅気分をあわせてお届けします。
2020年4月10日、映画監督・大林宣彦さんが82歳で亡くなりました。数々の名作映画を発表しましたが、なかでも『時をかける少女』など、自身の出身地・広島県尾道市で撮影された作品群は「尾道三部作」といわれました。 大林監督作品だけではありません。尾道は、小津安二郎監督による名作『東京物語』の舞台として登場し、さらには多くの文人たちにも愛されてきた土地でもありました。そんな尾道の魅力を、ロケ地などとともにお届けします。
■尾道を愛した文人たち■広島市と岡山市のほぼ中間にある尾道は、山と尾道水道に挟まれた坂の多い町です。今ではレトロな街並みが魅力ですが、近くの福山市が1960年代に工業都市として発展するまでは、広島県では広島市に次ぐ経済力を持っていたといいます。 ロープウェイで市街地を一望できる千光寺山展望台に登り、見下ろすと眼下に多くのお寺が目に入ることでしょう。戦火を逃れたこともありますが、かつて水運業や造船業で栄え、「西の小京都」と呼ばれ富が集まった名残でもあります。
戦前にはそのにぎわいと風光明媚な景観から、多くの文人が尾道を訪れました。千光寺山頂から下る1kmほどの「文学のこみち」と名付けられた遊歩道には、江戸時代の『東海道中膝栗毛』で知られる十返舎一九や、俳人・正岡子規などの尾道ゆかりの作品を刻んだ25の歌碑が並んでいます。 『放浪記』などで知られる作家の林芙美子は、小学生から高校生ぐらいまでの時期を、尾道で過ごしました。若い頃から文才が認められ、地方紙に短編や詩を寄稿していたようです。生涯あちこちに移り住みましたが、尾道時代の親友に会いに「帰郷」することもあり、尾道は「ふるさと」と言っていい場所でした。 作家の志賀直哉は大学卒業後、尾道に半年ほど住んでいました。滞在中、『清兵衛と瓢箪』などの短編を発表したほか、初短編集も刊行しました。これが夏目漱石に認められ初の長編に取りかかりますが、うまくまとまらず東京に帰京。後に代表作となった長編『暗夜行路』の舞台が尾道なのは、志賀が尾道滞在中に完成できなかったこの作品が前身だからです。
■『東京物語』は尾道在住の主人公が東京に行く話■そして、大林宣彦は1938年に尾道で生まれました。江戸時代から代々と続く医家の名家で、戦時中の6歳のとき、家にあった35mmフィルムに手描きしてアニメを作っていたことから、恵まれた家庭だったのでしょう。15歳のときには、尾道に来ていた小津安二郎監督の映画『東京物語』の撮影現場を見学しています。 『東京物語』は、尾道に住む周吉ととみの老夫婦が東京に住む子どもたちを訪ねに行く話です。家族の絆や人の心の移り変わり、親と離れていく子どもの姿を描き、日本はもちろん海外でも高い評価を受けました。 タイトルが『東京物語』なのに「なぜ尾道で?」と思う人もいるでしょう。 老夫婦が住む町が尾道になったのは、東京から遠い場所を探すうち、候補に上がった尾道が志賀直哉の『暗夜行路』の舞台だということを小津が知っていたからといいます。
『東京物語』の中に出てくる尾道は、冒頭の数分と物語の終盤です。中央桟橋、住吉神社、浄土寺、福禅寺、海沿いの道などが尾道の風景として登場しました。70年近く前の映画ですので、海岸通りの材木屋や線路を走る蒸気機関車の姿はもうありませんし、高台から見える家々の屋根も変わりました。ただ、町の中心部を離れると、驚くほど変わっていない場所もあるのです。静かなお寺や神社の境内、海を行く漁船、そしてひっそりとたたずむ狭い路地の姿は今もほとんど変わらず、まるで映画の中に入り込んでいるかのようです。 屋内シーンのほとんどはセット撮影だったので、実際に尾道ロケに参加した俳優は、父・周吉役の笠智衆と次女・京子役の香川京子、次男の嫁・紀子役を演じた原節子の3人だけでした。原節子は当時すでに大スターだったので、多くの見物客が浄土寺の撮影に集まったといいます。おそらく大林少年もそのうちのひとりだったのでしょう。
■時代を作った「尾道三部作」■大林は大学中退後、CMディレクターとして頭角を現していきます。チャールズ・ブロンソンを起用した「マンダム」のCMは、覚えている方もいるかもしれません。その後商業映画監督デビューした大林はアイドル映画を何本か発表しますが、批評家受けは良くありませんでした。それが覆ったのが、尾道で撮影した低予算映画『転校生』(82)です。 「若い男女の中身の入れ替わり」という設定は、今でこそアニメーション映画『君の名は。』などでも使われますが、当時はそれが原因で製作が危ぶまれるほどでした。映画は大ヒットにはつながりませんでしたが、高い評価を獲得。繰り返しテレビ放映されることで、次第に知名度を上げていきました。 セットを組む予算がなかったため、撮影はほとんど尾道でのロケでした。おかげで映画に出てきた風景を、今も尾道で見ることができます。大林はフィルムに、観光名所や見栄えのいい新しい場所でなく、日本人共通のノスタルジーを感じさせる風景を刻みました。自分が生まれ育った町の、変わらない部分を伝えたかったのでしょう。坂の多い町を行き交う学生たち、静かにたたずむ寺院、そして瀬戸内を行き交う船……。しかし当時の行政や町の人々の多くは、その良さを理解できず、クレームが来て大林は苦労したようです。
続く尾道ロケの『時をかける少女』(83)は、角川書店の大宣伝と新人・原田知世のフレッシュさもあり、大ヒットに。本作は映画マニアもうならせ、「尾道詣で」をするコアなファンが増えました。今でいう聖地巡りです。 尾道では、主人公の和子たちが通う高校(尾道市長江小学校)、和子の家(西久保町)などでロケが行われました。タイムリープのシーンで出てくる艮(うしとら)神社の大木は、なんと樹齢900年。そのりっぱなたたずまいは、歴史の重みを物語るかのようです。映画では高校のシーンなどで桜の花が咲いていましたが、撮影時はまだ桜が開花しておらず、合成とスタッフが花びらを散らせて処理したそうです。また本作は尾道だけでなく、古い街並みが残る近くの竹原市でも撮影が行われました。 尾道三部作最後の作品は、当時人気の富田靖子が冬休みの2週間を使って撮影した『さびしんぼう』(85)です。主人公は寺の跡取り息子という設定のため、吉浦町にある西願寺でロケが行われました。この寺の階段は、ヒロインのさびしんぼうが座っていた階段として知られています。境内まで上れば、尾道水道の眺めを楽しむことができます。街中から外れた高台なので普通の観光では訪れる人は少ないですが、熱烈なファンは今も訪れているようです。
■日本人が捨ててきたものを「再発見」する場所へ■今でこそ尾道は瀬戸内の人気観光地ですが、明治の街並みが残るわけでもなく、またモダンなレジャー施設があるわけではありません。「尾道三部作」当時の80年代も今も、ひなびた地方都市の風情が残るだけです。 有名な観光名所がないつつましさ――。それが、尾道の魅力なのです。残っているものだけが正しいわけではなく、消えていったものにも良さがあります。
日本の風景は60〜70年代に大きく変わり、新しい街並みしか知らない当時の若い世代にとっては、尾道三部作は過去の「再発見」でした。親世代が捨てた古道具が新鮮に見えたりするのと同じでしょうか。当時、昭和はまだ進行中で、「レトロ」というくくりもようやく生まれた頃だったのです。 その後、90年代に尾道でロケされた大林監督作品の『ふたり』(91)、『あした』(95)、『あの、夏の日』(99)の3本もあり、これらは「新尾道三部作」と呼ばれています。 ガンに侵されながらも映画を撮り続けた大林監督の遺作は、久しぶりに尾道を舞台にした『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(2020年7月31日公開)でした。尾道に唯一残る映画館「瀬戸内キネマ」の閉館オールナイト上映で、3人の青年が映画の中に入り過去を旅するというものです。尾道を愛した大林監督らしい作品といえるでしょう。 実際の旅行にはなかなか行きにくいご時世ですが、こうして映画や小説を通して旅に出るのもいいかもしれませんね。
「おのみち」シネマ散歩
最後に、『東京物語』や「尾道三部作」に登場した映画のロケ地や、尾道の映画にまつわる施設などを紹介します。
【御袖天満宮】国道から山側に少し入った高台にある、菅原道真を祀る神社。菅原道真が太宰府に流される途中に立ち寄り、人々の親切のお礼に服の袖を渡したという言い伝えが名前の由来。『転校生』で主人公の二人が転げ落ちた55段の石段がある神社です。(アクセス)JR尾道駅から徒歩25分。
【艮(うしとら)神社】千光寺山ロープウェイ乗り場近くにある神社です。境内にある樹齢900年のクスノキは『時をかける少女』で、過去にタイムリープした和子が幼い頃の自分と両親と出会った場所です。(アクセス)JR尾道駅から徒歩15分。
【土堂小学校下東側の自転車用陸橋】西土堂町にある小学校の自転車用の橋です。『転校生』で主人公の一人、斉藤一美が自転車を走らせるシーンに登場しました。(アクセス)JR尾道駅から徒歩5分。
【文学のこみち】千光寺山展望台から麓に降りる道沿いに、尾道ゆかりの作品を刻んだ25の歌碑が並ぶ散策路。『転校生』では、入れ替わり後の一美と斉藤一夫が話しているとチンピラが通りかかり、一美を連れ去ろうとしてケンカになるシーンがここです。背後にロープウェイが通るのが見えます。(アクセス)千光寺山ロープウェイ山頂駅からすぐ。
【浄土寺】聖徳太子が開いたともいわれている真言宗のお寺。本堂と多宝塔は国宝で、足利尊氏が九州に落ち延びる時に戦勢挽回を祈願したといいます。映画『東京物語』では、冒頭の尾道の風景の一つとして、そして後半のとみが亡くなった朝、境内にたたずむ周吉を紀子が呼びに行く場面に登場しています。周吉夫婦が住んでいるのが、この浄土寺地区という設定でした。(アクセス) JR尾道駅からバスで10分。「浄土寺下」下車、すぐ。
【おのみち映画資料館】蔵を改装して造られた資料館。尾道で撮影された『東京物語』など、映画にまつわる資料などが展示されています。ただし大林作品の展示はありません。(アクセス)JR尾道駅から徒歩18分 (開館)午前10時〜午後6時、火曜休館 (料金)520円。
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○の中に文字を入れてクイズに答えよう!正解者の中から抽選で10名様にJCBギフトカード10,000円分をプレゼント!このメルマガの中にヒントがあるので、探してみてくださいね! Q.大林宣彦監督が手掛けた、『時をかける少女』を含む広島県尾道市で撮影された作品は総称してなんと呼ばれている? 1.大林三部作 2.広島三部作 3.尾道三部作
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次回は、2020年10月下旬にお届けの予定です。次号もよろしくお願いいたします。
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