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キーン引退決意で加速するマンチェスターUの世代交代
マンチェスターUの闘将ロイ・キーンが、来シーズン限りで現役から退くことを明らかにした。93-94シーズン、ノッティンガム・フォレストから入団し、カントナ、シュマイケル(ともに引退)と引き継がれたチームスピリットを胸に戦いつづけた男が、ついにユニホームを脱ぐ決意を固めた。周囲の慰留により、決心がぐらついているとの報道もあるが、彼のキャリアが晩年にさしかかっていることは否定できない。
キーン引退後のキャプテンは、ファーディナンドで問題ない。薬物検査を意図的に回避した疑いで8カ月間の出場停止処分になった過去を、依然として“殺人罪”のようにとらえる日本のマスコミもいるが、この“空白の時間”で精神的に大きくなったことは、復帰後のパフォーマンスが証明している。ダーティーなタックルなど仕掛ける必要もなく、卓越された戦術眼と抜群の運動能力でピンチを回避している。また、なによりも勝利に貪欲になり、目つきも鋭くなった。“赤い悪魔のボス”を名のれるのは、ファーディナンドしかいないだろう。
さて、キーンが引退するということは、彼とともに6シーズン前のトレブル)チャンピオンズリーグ、プレミアシップ、FAカップ)に貢献したスコールズ、ギグス、G・ネビルも、キャリアの晩年にさしかかったことを意味している。だからこそファーガソンはルーニーを獲得し、ミドルズブラのダウニングに接触し、新陳代謝とともに補強を図っているのだろう。ただ、なぜフィールドプレーヤーなのだろうか。スコールズ、ギッグス、G・ネビルは30代前半。フルシーズンはともかく、まだ1〜2年は戦える。
フィールドプレーヤーでなくGKの補強が急務
問題はGKだ。キャロルは使えない。あまりにも不安定で、あまりにも利他的だ。守備範囲もせますぎる。ハワードはすっかり自信を失った。それでもマンチェスターUは、GKの補強が進まないのである。このポジションに不安をかかえていることは、昨シーズンの終盤から明らかだった。しかし、だれも加わらない。一時、カシージャス)マドリー)の獲得に名のりを上げるのではともいわれたが、彼の代理人の話を信じると、「ユナイテッドからのオファーは届いていない」。
「ルーニーの獲得で300万ポンド)約60億円)以上の出費になった。補強費などない」
と、チーフエグゼクティブのギルは苦しい台所事情を明かした。本拠オールド・トラフォードを増改築するため、予算が限定されている内情も理解できる。しかし、あり余る財力を利して急速に台頭してきたチェルシーに対抗するためには、ゴールマウスを安心してまかせられる名手を獲得しなければならない。仮に来シーズンもキャロル、あるいはハワードがGKを務めるのだとしたら、勝利の女神はマンチェスターUに興味を示さないだろう。
前述したカシージャスとの交渉が不可能なら、ビッグクラブへの移籍をもくろむフレイ)パルマ)、インテルの人間関係にいや気がさしたとウワサされるトルド、さらに世界でもベスト5に入るギブン)ニューカッスル)、チェルシーでは控えだが、だれもがその実力を認めるクディチーニなど、マンチェスターUにふさわしい実力者がいるではないか。
とにかくGKだ。この、特殊でデリケートなポジションを補強しない限り、マンチェスターUの完全復活はありえない!
粕谷秀樹
「週刊サッカーマガジン」「ワールドサッカーマガジン」テクニカルアドバイザー。大学時代からスポーツ・ジャーナリズムの世界に身を投じ、ゴルフ、格闘技雑誌などの編集者を務める。サッカー専門誌の編集長、スーパーバイザーを7年間歴任した後、2001年に独立。現在は「スカイパーフェクTV!」でチャンピオンズ・リーグ、プレミアシップの解説を担当している。 |
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