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[正当に評価すべきチェルシーの業績]代理人の悪意、メディアの脚色
文:粕谷秀樹 写真:Second Wind Date:2007.1.8
 この1月、代理人たちの情報操作が始まった。移籍金に伴う手数料を少しでも釣り上げようと、架空のオファーを各メディアにリークする。被害者はチェルシーだ。

「われわれの名前を悪用する代理人が増えてきた。彼らがバカげた情報をメディアに吹聴すため、選手の移籍金が倍増する」

 ジョゼ・モウリーニョ監督も困惑気味だ。もちろん、チェルシー側にも責任の一端はある。オーナーのロマン・アブラモビッチ氏が非常識な額で強化を図った結果、移籍市場は価格崩壊に陥った。220万ポンド(約5億600万円)前後と思われていた若手に500万ポンド(約11億5,000万円)の値がつくのは、代理人のしわざであると同時に、チェルシーの失策であることも否定できない。しかし、なぜ彼らだけに批判が集中するのだろうか。

 チェルシーの経済力で潤ったクラブが存在することも事実だ。ACミラン、リヨン、レアル・マドリー、PSVアイントホーフェンといった強豪は、エースストライカーや若手ウイングの放出で得た莫大な金額を、借金の返済やスタジアムの補修、あるいは強化費などに充てている。チェルシーを云々できる立場ではない。

信憑性はゼロ、タブロイド紙のチェルシー情報
 英国のタブロイド紙(大衆紙)が書きなぐるチェルシー情報(すべての情報というべきか)も、基本的にはでっち上げだ。ニュースソースを明らかにせず、ゴシップ、スキャンダルのみで読者の想像力をかきたてる。用いられている言葉も俗語、卑語が非常に多い。信憑性はゼロ……いや、マイナスと断言していいだろう。したがって、通信員とやらが日本のスポーツ紙に寄稿している原稿も、“虚言の伝聞”にすぎないのである。

 誰にでも先入観というものがある。アブラモビッチがオーナーに就任してからというもの、シーズンごとに100億円前後が動いてきたのだから、チェルシーが移籍市場に投下する資金は天文学的な数字になる、と判断するのは当然の感覚だ。

 しかしそれを逆用し、全世界のファンを欺こうとする代理人に問題はないのだろうか。選手のコメントを自らの発想で脚色し、内部分裂をあおるような報道を続けるメディアに非はないのだろうか。彼らの感覚は先入観などではない。“悪意”そのものだ。

チャンピオンズリーグのバルセロナ戦は、ロスタイムで2-2の同点に追いついた。チェルシーの情熱は評価されてしかるべきだ。
(C)Second Wind
 また、「チェルシーにはパッションが感じられない」という意見も歪んでいる。チャンピオンズリーグのバルセロナ戦は、ロスタイムで2-2の同点に追いついた。しかもアウェーで! である。プレミアシップのアーセナル戦も終了6分前に1-1とし、エバートン戦では2度にわたって先行を許しながら、終了2分前に3-2の逆転勝ちを収めている。この3試合を見た人間なら、だれもがチェルシーのパッションを感じ取ったに違いない。

 アブラモビッチの潤沢な資金が嫉妬を生み、モウリーニョの挑発的な言動は多くの敵をつくった。しかし、だからといってチェルシーのすべてをネガティブにとらえ、“悪の権化”に設定していいものだろうか。サッカーを取り巻く環境が劇的に変化している今、清く・正しく・美しく──は世間を知らぬ人間の戯言だ。スポーツをビジネスとしてとらえ、チェルシーを独立した組織として運営するアブラモビッチの財力、モウリーニョのリーダーシップがあったからこそ、またたく間にイングランドを席巻し、ヨーロッパでも頂点に立とうとしている。この事実こそ正当に評価すべきだ。悪意も脚色も必要ない。

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