英国における試合翌日の楽しみ方。それは薄汚れたニューススタンドで“誉れ高き”タブロイド紙を買いあさり、各紙の選手採点をくらべることだ。
採点が一致することはほとんどない。同じ選手にある新聞は3点、他紙は7点をつけることもザラである。どうしたらここまでのズレが生じるのか、とても不思議である。
そもそも評価基準が独特だ。採点というものは選手がその試合で見せたパフォーマンスによって判断されるはずだが、英国では出場時間も考慮されるようだ。たとえば3分間の出場で決勝点を上げても、採点は3ということがある。理由は簡単、出場時間が短いからである。イタリアやスペインであれば、出場時間が短くとも重要な仕事をすれば評価は高くなるのだが、ここではそうではない。
この選手採点は欧州各紙で行われているが、実は選手も結構気にしている。イタリアでは採点が低ければ、仮にその評価が正当であっても皆文句を言っていた。確かにメディアなどまったく気にしない選手もいるが、自分のプレイがどう見られ、そしてどう世間に伝わっているのかというのは気になるのが普通だろう。イタリアでは、読んでいた新聞を選手に略奪されることも多かった。皆あとで返すよと言うが、約束どおり返ってきたためしはない。
フットボールの母国の笑うしかない報道内容
 |
 |
 |
疑問符のつく内容が多いイングランドのフットボール報道。標的となりがちなスタープレイヤーとのあつれきも生じて当然か。
(C)Second Wind |
|
英国のタブロイド紙に掲載されるフォーメーション図も非常に“魅力的”である。彼らのなかではフットボールというスポーツはすべてのチームが4-4-2でプレイするらしい。3-5-2だとか、中盤がダイヤモンドだとかは知ったことではない。4-4-2を採用していないチームの選手は無理やりどこかのポジションに当てはめられている。まさに4-4-2至上主義。ザッケローニが見たら怒って新聞を破いてしまいそうだ。
その図中では選手のポジションもユニークだ。いつだったか、GK以外のすべての選手のポジションが間違っていたことがあった。とにかくすべてが逆なのである。左サイドバックは右サイドバックに、右MFは左MFとなっている。ここまで外すのは逆に難しいはずである。ひょっとしてこれは読者が試されているのではないかと疑うほどだった。一体どうやってこの図を作っているのか、一度編集部を取材したいものである。
イタリアやスペインではそのようなことは起きない。2国ともスポーツ紙が存在し、試合翌日には細かい分析と評価がなされる。英国のように「今日はクリスティアーノ・ロナウドが守備的MFか、ふむふむ」といったゆがんだ楽しみ方はできないのは残念ではあるが。
タイムズ、テレグラフ、ガーディアン、インデペンデントら、いわゆる高級紙はタブロイド勢にくらべるとしっかりしているが、とにかくページ数自体が少ない。ゆえに試合分析などももの足りなく、選手の採点も載っていない。英国に来たばかりのモウリーニョも驚いていたが、これがスポーツ紙が存在しない国におけるスポーツジャーナリズムの姿だ。フットボールの母国は、ことフットボ−ル報道においては他国に圧倒的に劣っているのである。
|