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[日本代表、課題の解決策]FW育成は海外移籍よりJリーグで
文:戸塚 啓 写真:Second Wind Date:2006.10.16
 オランダリーグからJリーグへ移籍した(Jでプレイするのは初めてだから、復帰ではなく移籍という表現になるだろう)平山相太は、その過程でずいぶんと評判を落としてしまったようだ。

 前所属クラブのヘラクレスの会長による「やる気が感じられない」という発言や、本人の「オランダになじめなかった」というコメントなどが、関係者やファンに失望感を与えたようである。加入1年目でチーム最多の8ゴールをマークしていたし、何よりもドイツ後の世代を引っ張るストライカーという期待が大きかっただけに、与える失望感も深くなってしまったようだ。

 個人的には仕方がないと思う。できることならもうひと踏ん張りしてほしかったが、本人に海外でプレイする情熱が薄れてしまった以上、無理強いはできない。

 かつて柏レイソルにも所属したブラジル代表のミューレルは、イタリアへ移籍するたびにブラジルへ戻ってしまった。環境になじめないというのが理由だった。トルコ代表として活躍してきたハカン・シュクールも、1度目のイタリア挑戦はまったくの鳴かず飛ばずだった。

 国外での海外移籍に対する認識は、ダメならもう一度やり直せばいいというのが一般的だと思うのだが、日本では一度失敗するとすぐに失格の烙印を押されてしまう。地理的に遠い日本の場合、何がなんでも欧州のマーケットにとどまるのはとても大切なことだ。だが、日本へ帰ってくるのは必ずしも悪いことではない、と個人的には考えている。

 そもそも海外への移籍の目的は、海外のクラブに所属することではなく、海外のクラブで試合に出ることにある。トレーニングから学べることもたくさんあるだろうが、実戦を踏まなければ自分の変化を感じ取れない。変化を感じ取れなければ、次のステップへ踏み出せない。やはり試合に出なければ始まらないのだ。

 海外クラブに所属しているだけでは、代表チームにも貢献できない。「1ヵ月ぐらい準備期間のある大きな大会ならともかく、ぱっと集まってすぐに試合をしなければいけない場合だと、試合に出ていない選手を使うのはかなりむずかしい」と語るのは、各年代の代表チームを担当してきた山本昌邦氏である。

海外移籍すれば点を取れるようになるわけではない
日本へ帰ってくるのは必ずしも悪いことではない。ただし、外国人FWとの競争には絶対に勝たなければならない。
(C)Second Wind
 先日取材をしたイタリアの大物代理人が、こんな話をしている。大黒将志のトリノ移籍を実現させたブランキーニ氏である。

「ここ何年間で日本から多くの選手が国外へ行きましたが、いちばん成長したのは中盤の選手です。なぜかというと、FWの選手以上に出場機会を得ることができたからです。FWで大きな成長を遂げたのは、高原だけではないでしょうか。柳沢はそれほど出場機会がなかったし、平山も最後のほうは出場機会がなかった。間違ってはいけないのは、国外に行けば点を取れるようになるわけではない、ということです」

 そして彼は、Jリーグに目を向けるべきだと指摘した。

「ストライカーを育てるための解決策としては、Jリーグのクラブが外国人FWを少なくすること。FWの選手をできるだけ買わないこと。もしJリーグがあらたな規則をつくって、2トップのうちひとりは日本人を使わなければいけないというルールができたら、私は4年後のワールドカップで日本のFWが成長していることを保証しますよ」

 ドイツW杯のグループリーグ敗退により、欧州における日本人選手の市場価値は下落してしまった。もともと高値で取り引きされる〈銘柄〉ではなかったが、投資家たちの興味はずいぶんと薄くなっている。

 海を渡りたい日本人選手は多いだろうが、実際に渡れる選手はこれからしばらくは減っていく。とくにFWはむずかしい。それだけに、ブランキーニ氏が指摘する国内の整備も重要になってくる。「Jリーグでストライカーを育てる」ということを、本気で考える必要があるだろう。


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