欧州選手権の予選が始まったとき、イングランド代表の苦戦は予想されていた。何しろ、レノンとJ・コールが負傷のために戦線を離脱したのだ。両ウイングを失った攻撃が機能するはずはない。
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グループFのスペインと並んで出遅れたイングランド。グループAにはヒディンク監督率いるロシアも待ち構えている。
(C)Second Wind |
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クラウチは相変わらず凡庸で、頼みのランパードとジェラードも、ドイツワールドカップの疲労から回復していないようだ。また、マクラーレン新監督が期待する新戦力もノーインパクト。左ウイングのダウニングはドリブルという武器を持たず、MFキャリックもゆるいパスを前線に配しているだけだ。マケドニアとのホームゲームを0-0で引き分け、クロアチアとのアウェーゲームは0-2の完敗を喫したわけだが、ここまでに列記した事実から判断すれば、至極当然の結果といえるかもしれない。
それにしても、マクラーレンは何を考えているのだろうか。クロアチア戦のフォーメーションは3-5-2。両アウトサイドにG・ネビルとA・コールを起用している。なぜ彼らなのか。ともに超一流のサイドバックだが、アウトサイドとしては未知数である。アップダウンのタイミング、中央への絞りなど、不安をいだきながらプレイしたに違いない。
マクラーレンが基本とするフォーメーションは、4-1-4-1だといわれている。したがって、アンカー(中盤の底)のハーグリーブズが左足腓骨骨折で年内絶望となったことは、大きなアクシデントだっただろう。しかし、今シーズン好調のパーカー、もしくはP・ネビル、キングを起用すれば、ある程度カバーできたはずだ。ハーグリーブズほどの戦術眼はないが、パーカーとP・ネビルはボール奪取能力にすぐれ、キングはポジショニングと空中戦に自信を持つ。
あせる必要などなかったのだ。G・ネビルとA・コールを本来のポジションに戻し、人材不足のウイングは右にライト・フィリップス、左は応急処置としてオールラウンダーのルーニー。センターハーフはランパードとジェラードが軸で、アンカーにパーカー(あるいはP・ネビル、キング)を起用する4-1-4-1。戦局に応じたフォーメーションの変更はたしかに重要だが、まずは基本を固めるべきだ。ましてプレミアシップのチームは、すべて4バックである。昨シーズンまでミドルズブラの監督を務めていたマクラーレンが、知らないはずはない。
いまさらベッカム待望論ぶつメディア
さて、もうひとつの問題はジャーナリズムだ。欧州選手権予選の不振を重視し、ひとつの再建策を展開している。ベッカムを代表に呼び戻せ──。
いまさら、である。懸命にボールを追う姿には共感できるが、イングランド代表の軸はランパードとジェラードのダイナミズムであり、ルーニーのたぐいまれなポテンシャルだ。ベッカムの右足から放たれるクロスの精度が絶品といっても、ドリブルが不得意で、スピードとスタミナに不安があるだけに、ランパードをはじめとする選手たちの推進力を妨げるケースも少なくなかった。ドイツワールドカップでも、ベッカムに代わってレノンが出場すると、イングランドの右サイドが活性化した経緯がある。
それでもジャーナリズムは、ベッカム待望論を叫んでいる。マクラーレンがアシスタントとしてベナブルズ(元イングランド代表監督)を招聘したとき、彼らは「時代遅れ」と罵声を浴びせた。ところが今度は、すでにピークを終えたベッカムを待望している。イングランドという国は、なぜ前に進めないのだろうか。欧州選手権予選突破への道は、きわめてきびしい。
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