オシムジャパン初戦となるキリン・チャレンジカップは、2006年8月9日、東京・国立競技場に47,482人の観衆を集めて開催され、終始主導権を握った日本代表は2-0でトリニダード・トバゴを下した。
異例づくめの船出だった。
はたしてオシムジャパンとはいかなるものか。世間が注目するなか、オシム監督は最初から強烈なメッセージを発した。
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就任以来、強烈なメッセージを発信するオシム監督。選手のみならず協会やメディア、そしてサポーターにも覚醒を求めている。
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オシム体制下初めての代表メンバー発表は、当初の予定より3日遅れたうえに、リストにあった名前は13人。リスト上の名前は、現在Jリーグで活躍する若手が中心で、このうち5人は初選出。たしかにこのリスト自体はオシム流の新しさを感じさせるものだった。しかし、オシム監督らしさを知らしめたのは、やはり13人というこの人数。A3チャンピオンズカップ出場中のガンバ大阪、ジェフ千葉からの選考を断念せざるをえなかった状況に対する不満を込めて表現してみせた。代表強化には、マッチメイクの仕方も大きく影響することは、筆者も再三再四指摘してきたが、この短いリストは協会に対する強烈なメッセージだった。
そして、代表合宿では、7色のビブスを使っての練習。この練習は、敵と味方が状況によって刻々と変化する難解なものだった。選手たちは、とまどい、再三動きが止まった。しかし、これもオシム流のひとつ。状況判断の速さを鍛えるねらいであり、単純に走る速さだけを求めているのではないという選手たちへメッセージだ。
代表合宿中の練習後、「ワールドカップでのトリニダード・トバゴの3試合すべてを見た者はいるか」と報道陣に問いかけた。だれからも反応がないのを見ると、オシム監督は席を立った。勉強不足なまま無責任な報道はするなというメディアに対する痛烈なメッセージだ。
これらのメッセージは、日本代表の変化を求めるものであり、変化するにためには、選手のみならず協会やメディア、サポーターの変化も必要だということを暗示している。
完勝スタートにも危機感を募らせるオシム監督
試合は、初代表の5人がスターティングメンバーに名を連ねたフレッシュな顔ぶれ。対するトリダード・トバゴもドイツワールドカップのレギュラーは2人だけで、いまは世代交代の時期。そのぶん、攻撃に迫力を欠く布陣で、日本は前半から主導権を握った。前半17分、このメンバーのなかでは実績十分の三都主がゴールほぼ正面のFKを直接決めて先制すると、その後も流れは完全に日本代表ペースだった。先制点から5分後の22分、左サイドの駒野から中央前線へのボールは、完全に相手DFの裏へ出るパス。このボールに三都主がすばやく反応し、GKの頭上を抜く技ありのゴールで試合を決定づけた。この場面での三都主は、駒野がボールを出す直前には、ほぼ中央、駒野のやや右前の位置だった。ここから長い距離を走った動きは、オシム監督の求める「ボールのないところでのすばやい動き」そのものであり、短い合宿期間ながらオシムイズムが浸透しようとしていることをうかがわせた。象徴的なシーンはほかにも随所に見られた。田中達、山瀬、長谷部は盛んに動きまわり、「3人目」の動きを体現してみせた。残念ながら、いまだ連携不足の感は否めず、ゴールまでは至らなかったが、今後を期待させるには十分な内容だった。
試合内容としては、課題を残しながらも完勝のゲーム。わずかな準備期間でも確実に結果を残したオシムジャパン。しかし、オシム監督は試合後、後半息切れした選手たちに、「90分走れない選手がいる」と、あらためて走ることの重要性を説いた。
新生オシム・ジャパンがスタートを切り、その片鱗を垣間見せた。しかし、南アフリカワールドカップまであと4年弱。オシム監督は、時間が短いことに危機感を募らせている。
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