2007年シーズン開幕を前に、ヴァレンティーノ・ロッシがヤマハと2008年の契約を結んだ。噂されるWRCへの転向も、これで当面なくなった。800cc時代の幕開けとなる今季、ロッシは周囲の雑音をシャットアウトして王座奪還に専念する。
2007年でヤマハとの契約が終了するロッシには、2008年、WRCへの参戦が噂されていた。ロッシ自身も将来の四輪転向の意思を口にしていたことから、その動向は今季のモータースポーツ界の大きな話題のひとつになると思われていたが、意外にも、シーズン開幕前に沈静化することになった。
「ヤマハとの契約を2008年まで更新できてとてもうれしいんだ。これで今季のレースだけに専念できるからね」とロッシ。「去年、ほとんど不可能っていうところからタイトルに近づいたことで、このチームがどれぐらい素晴らしいかがわかったんだ。だから、ヤマハにとどまりたかった。この3年間はとてもポジティブに過ごせたし、残留が決まって喜んでいるよ。ガレージの雰囲気はいつもリラックスしてハッピーな感じだけど、これは特別なことなんだ。こんなチームは他にはなかなかないね。ヤマハは深く信頼しているし、彼らとともに800cc時代を迎えられてエキサイティングな気分だよ」と、今後2年間の新しい挑戦への意欲を示した。
ヤマハのマネジングディレクター、リン・ジャーヴィスは「ヴァレンティーノとのパートナーシップが2008年まで、都合5年間続くことが決まってわくわくしている。とりわけ好ましいのが、すべての契約交渉が2007年シーズンが始まる前に完了したことだ。これでヴァレンティーノも仕事に専念できる。チャンピオンシップをとり戻すというね」と話しているが、ロッシの早期決断はファンにとってはちょっとしたサプライズだといえる。
フィアットがヤマハのスポンサーに!?
まだ2007年シーズンも始まっていない段階での契約更新発表は、まず、昨季の轍を踏みたくないとの意向が働いたと考えられる。去年の今頃、フェラーリで本格的なテストを行ったロッシはメディアの大注目を浴びた。今季も今回のアナウンスがなければ、WRC転向の噂はどんどん過熱していっただろう。そうなると、ロッシにとっては好ましい状況とはいえなくなってしまう。今季は王座奪還が至上命題だが、エンジニア、メカニックなどチームのモチベーションが低下するおそれがあるし、将来WRCに転向する場合も、噂が先行しすぎると物事がうまく進まなくなってしまうデメリットがあるからだ。
また、もうひとつ考えられるのは、スポンサーの強い意向が働いたということだ。ヤマハは今季のタイトルスポンサーをいまだ発表しておらず、1月23日から25日まで行われたセパンテストではカーボンファイバーむき出しのカウルに、ロッシは黄色、コリン・エドワーズは赤でヤマハのロゴが貼られた状態で走行を続けている。キャメルに代わるタイトルスポンサーはテレフォニカとなるのではないかと見られていたが、イタリアのメディアで報道されているところによると、なんとフィアットも有力候補だという。フィアットは今年9月15日に発売する新しいチンクェチェントのプロモーションになんとしてもロッシを起用したいらしく、2年契約をオファーしているようなのだ。たしかにチンクェチェントのファニーでキュートなイメージはロッシのそれにぴったり重なるが、ヤマハは自社と投資ファンドの保有分を除くとトヨタが最大の株主だけにこれもサプライズだ。フィアットがロッシのパーソナルスポンサーになるのか、ヤマハそのものを支援するのかは不明だが、マニュファクチャラーの垣根をいとも簡単に超越するのはロッシならではといえる。
800ccバイクにも手ごたえ
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セパンテストでは3日間総合のトップタイムをマーク。800ccバイクにも手ごたえを感じていると話している。
(C)Yamaha |
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前述のセパンテストにはイルモアを除く全チームが参加したが、ロッシは3日間総合のトップタイムをマーク。ただひとり2分01秒台の壁を破る2分00秒936を記録したが、これは昨季、ロッシ自身が刻んだサーキットレコード(2分00秒605)に肉迫するものだ。
「シャシーがよくて、昨シーズンの始めに経験したような問題は起こっていない。今年は開幕から飛ばしていかなくちゃだめだけど、今のところうまくいきそうだよ。パワーデリバリーは開幕前のこの時期にしては予想していなかったぐらいの出来だ。ブレーキはもう少し詰めなくちゃいけないけど、セットアップを進めていくうちによくなると思う」と、手ごたえ十分をアピールするロッシ。王座を失ったとはいえ、やはりMotoGPの主役はこの人だ。
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