
これを言うのも5回目になるが、耳をかっぽじって聞いてほしい。
OGグルメ探求部が“作ってみたいグルメマンガの料理”とはそれはもうズバリ言って幻想を感じる料理なのである! グルメマンガという言葉を耳にして、数多くの人が一番に想い描く作品は、東西新聞社文化部記者「究極のメニュー」担当の山岡士郎と、士朗の実父にして美食倶楽部を主催する海原雄山が織りなす壮大な親子喧嘩絵巻『美味しんぼ』や、豪傑主人公の荒岩一味が家庭や職場などで料理の腕をふるう『クッキングパパ』だと思うのだが、そういった“良質”なグルメマンガに登場する料理は創造の範疇で味覚を満足させてしまうというか、ズバリ言ってリアル過ぎるため幻想を感じない!
そこで、我々はそんな幻想を世界中から集め、幻想の世界で生きる人々に提供し続けている超一流企業、秋葉原の外付けハードディスク・中野に鎮座する“サブカル知識の火薬庫”まんだらけの門を叩き、広報部長中村氏をアポなしで襲撃した。
なっかむらくーん、あそぼー!(広報室のドアを叩きながら)
「またお前らかよ……、この糞小便虫どもが(怒)」
糞小便虫でーす(笑)
「で、今日は何のようですか?」
なにそれ……、くやしいよ。くやしい、中村くん。気持ちはひとつしか
ないんだよ。 2個はないんだよ。どこに置いてきちゃったの?
「へ?」
24時間好きって言ってて、仕事してても、友だちと遊んでても、中村くんの心全部で好きって言ってて!
「何言ってんだよこのゲス野郎は(怒)」
ちゃんと捕まえてて。私だけを見てて。でなきゃ、よそにいっちゃうよ!
「だからなんなんですか! 仕事中なんですから用件を言ってくださいよ!!」
ちょっと、なんなんですか中村さん(いきなり素に戻って)
「それはこっちの台詞ですよ!」
人がせっかく「東京ラブストーリー」の赤名リカ名シーン&名台詞を演じてるのに、中村さんもねぇ、もう少しカンチな気分になってやもらえませんかね? いい大人なんだから……。
「わかるかそんなもん! っていうかわかってもやるかボケ!!」
はいはい、わかりましたわかりました。じゃあもう1回いきますよ。ヒマラヤのてっぺんから電話したら迎えに来てくれる?
「(渋々)迎えに行く」
あったかいおでん持ってきてくれる?
「屋台ごと持ってく」
ビートルズのコンサートうちで聴きたいって言ったら?
「連れてくる」
ジョンはどうするの?
「オレが代わりに歌う」
魔法を使ってこの空に虹かけてって言ったら?
「それはできないかもしんないけど……。でも、魔法だったら使える(いきなりキスしようとする)」
ゴラッァァァァァ! 調子にのって織田裕二気どってんじゃねーぞこの糞虫が!!
「(我に返って)あぁ……、ついカンチになりきってしまった」
ほら、早く例のブツ出さんかい! 今回もマンガの料理作るんだよコラ!!
「てめぇら……、いつか絶対にぶッ殺すからな。ホラよっ(1冊のマンガを放り投げる)」
ほほぉ、今回もスーパーくいしん坊か、なになに? カボチャうどん!?
「作れるもんなら作ってみやがれ(ニヤリ)」

マリカちゃん、今回もよろしくお願いします。
「よろしくお願いします! で、今日は何を作ればいいんですか?」
えっとですね、コレなんですけど(1冊のコミックをわたす)。
「あっ、このメタボな男の子の……、ですか」
(焦りつつ)でもですね、今回のメニューはベジフルビューティーなマリカちゃんにはもってこい、野菜をフューチャーしたメニューなんですよ!
「そうなんですか! 楽しみです。で、何を?」
カボチャうどんです。
「か、カボチャうどん…ですか。カボチャが入ってるうどん!? なんだか今までのと違って普通ですね」
普通かなぁ……、どうなんだろうなぁ。
「ものスゴくイヤな予感がするリアクションですね(苦笑)」
カボチャが入っているうどんじゃなくて、何て言えばいいんだろう……、うどんがカボチャに入ってるというか。
「うどんがガボチャに入ってる!?」
とにかく、ちょっとコレ読んでみてください!
「はい。(熟読後)えっとコレ、本気ですか?」
ズバリ言って本気ですね(即答)
「だと思いました……。とにかく頑張ってみましょう!!」
久々登場!なマリカちゃん連載5回目。今回も、マンガ界の大巨匠、ビッグ錠先生が描くグルメマンガ『スーパーくいしん坊』に登場する トンデモ料理をHEY HO LET'S COOKINGだ。商店街の洋食屋「キッチンくいしん坊」の二代目、スーパーくいしん坊こと鍋島香介が、様々な料理ジャンルのプロたちが作った料理にクソをぶっかけ、しかも勝利してしまうという痛快奇天烈料理マンガに出てくるトンデモ料理を実際に作ってみるというこのコーナー。常識的な調理法という概念の向こう側の発想から生まれるメニューに、マリカちゃんが挑戦だ!!

とある日、商店街のうどん屋“やぶそば”で香介がうどんを食べていたところに、「幸江!こんなところでウロウロしないで、自分お店を手伝え」ひとりの親父が怒鳴り込んできたところから物語は始まる。怒鳴り込んできた親父は、やぶそばの通り向かいにある青果店の親父、幸江はやぶそばの二代目である良一の恋人で、やぶそばを手伝っていたのだ。愛し合い、結婚を約束していた良一と幸江であったが、幸江の親父と良一の親父は犬猿の仲で、ことある事に衝突をくり返していた。この日も、「しけた店だ、親父の腕が腕だからな」と幸江の親父が吐き捨てると、良一の親父は「人の店の心配をする前に自分の店の心配をしたらどうだ!生きの悪い野菜ばかり並べやがって!」と斬って返す。
ズバリ言って関係は最悪、無論、「良一は好きだがあの親父はダメだ!」と、幸江の親父は良一と幸江の結婚をふたりの親父は認めようとはしない。そんな状況に困り果てる良一と幸江、それを見た幸江の親父は「うちの野菜を使って店が満員になるようなうどんを作ってみろ! それができりゃ幸江をくれてやってもいい」と宣戦布告、それを受けた良一の親父は「結婚をするのはお前だ、お前が頑張れ!」と良一の肩を叩くのだった。
どこか頼りない良一、自身の結婚を懸けたうどん勝負を前にしても「でも……」と尻込み、いろんなメニューを考案するも、店を満員にするようなうどんにはほど遠く、親父から「打つ手はねぇ」とさじを投げられてしまう。そんな良一を見て、またもた香介が頼んでもいないのに修羅場に介入「心配するなよ良一さん! おれがなんとか考える」とメタボな腹をふるわせ立ち上がった。

香介の参戦に浮き足立つ良一。それもそのはず、商店街では香介の実力、スーパーくいしん坊の名は商店街では有名で、良一からすれば鬼に金棒なわけだ。しかし、良一の親父は「香ちゃんの気持ちは嬉しいけど、本当のところ、本職のオレでも野菜を使って店を満員にできるうどんなんて……」と困惑を隠せない様子。そんな心配顔の親父を尻目に香介、どこからどう見ても自信満々な表情で、良一におつかいを頼むのだった。
「えーっと、カボチャ6個にピーマンにタマネギ……」と、幸江の青果店で香介に頼まれた野菜各種を買い出す良一。最初は浮かれ気味だったが、親父の言葉を聞いてまたも尻込み状態「本当にこれで店を満員にできるのか!?」と心配し始めた良一に、香介が「これを店のおもてに貼っておいて」と1枚の手書きのポスターをわたした。
そのポスターには、
当店特製!カボチャうどんでこの冬をのりきろう!
と、書かれていた。
「カボチャうどん?」意外過ぎるメニューを見て「こんなもので本当に店が満員になるのか?」と、さらに不安がる良一と親父。ポスターを見た客も「どうせカボチャがうどんに入ってるだけだろ」 と苦笑気味。そんな不安が店に充満する中、程なくして「そんなに美味いのかねぇ」「ものはためしに食べてみるか」という客が現れ、物語は怒濤の急展開を見せつつ、ググイと加速していく。

良一と親父の心配をよそに、やぶそばでは、早くもカボチャうどんの注文が入り始めた。それを聞いた香介は大きな寸胴に水を張り、火をかけて沸騰させ始めた。そして、カボチャの上側を切り取り、中の実をくりぬき始め、くりぬいた表面にすり鉢で潰したくるみと味噌のペーストを丁寧に塗った。さらに香介は、幸江の親父の青果店で買った野菜を手際よく下ごしらえし、ものスゴいスピードで謎のうどんを完成させていく。「なんだこのマズいうどんはなんて言われないだろうか……」あまりの不安に厨房から逃げ出し、店内の客を眺めながら心配する良一の耳に親父の大声がいきなり飛び込んできた。「できたぞー!!」
「これなら絶対にいけるぞ!」寸胴の中身を見て狂喜乱舞する親父、しかし、良一は厨房にから出ていたため何が起きているさっぱり状態。恐る恐る寸胴の中身を見てみると、なんのことはない、寸胴で炊かれたカボチャまるまる一個が湯気を立てていただけだった。そして、このまるごとカボチャよろしくな料理の秘密を知り、親父以上に狂喜乱舞する良一なのであった。
自身満々といった表情で、煮え立ったカボチャをテーブルに運ぶ良一に,客は「オレが頼んだのはカボチャじゃなくカボチャうどんなんだけど」と、ごもっともな突っ込み。良一は「これが当店名物のカボチャうどんです。どうぞフタをとってください」とひとこと。
「おぉ! カボチャが器になってる!!」熱々のカボチャの上側を取ると、その中身にはグツグツと塩梅良く煮え立ったうどんが入っているではないか! そして、その数秒後、やぶそば店内は「うめーぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」という歓喜で溢れかえることに。くるみと味噌のあまりに上品なマッチング、鶏肉と野菜の旨味が見事にとけあい、しかもうどんがまったく煮崩れしていない。「うどんにたっぷりしみこんだカボチャの甘みが最高だ!」客は、カボチャうどんのあまりの美味さに我を忘れて箸を進めていく。その後も、カボチャうどんの注文は止まらず、店内はあっという間に超満員!!
「キッチンくいしん坊の香介、美味いものを作ってくれたなぁ」と、満員の店内を眺めながら感極まる親父は「よし良一、野菜を全部買いしめてこい!」 と、幸江の親父の青果店の野菜の買いしめにかかった!
これに驚いたのは幸江の親父だ。一目散に店の外に出た幸江の親父の目に飛び込んできたのは、店先に行列ができているやぶそばだった。「や、やぶそば……、こりゃいったい!?」。「これはどうなってるんだ?」と良一の親父に詰め寄る幸江の親父、良一の親父は「店の中を見てみろよ」とひとこと。店の中に飛び込んだ幸江の親父が見たものは、今まで閑古鳥が鳴いていたやぶそばではなく、満員御礼大盛況な人気店だった。
「カボチャうどん、そんなにうまいのか」と驚きを隠せない幸江の親父に良一が「親父さんもどうぞ」と、できたてのカボチャうどんを差し出した。流れのままにカボチャうどんに箸をつけた幸江の親父は、そのあまりの美味さに愕然するしかなかった。良一はそんな親父にカボチャうどんの能書きをたたみこみ「幸江ちゃんをください!」とドサクサ紛れに結婚の承諾を求め始めた。 カボチャうどんをすする幸江の親父、良一の頼みにひとこと「男の約束だからな」「頼りないヤツだと思っていたが、お前もけっこうやるな」と、良一を認めた幸江の親父。幸江の親父が課した“オレの店の野菜を使ったうどんでやぶそばを満員にする”という仮題に見事応えてみせた良一は、はれて幸江との結婚を許されたのだった。
大円団に終わったやぶそばの戦い。だがそこに、一番の功労者である香介の姿がなかった。良一は、なぜ香介が店から消えたのかわかっていた 「ありがとう香ちゃん。キミはオレに花を持たせるために、姿を消したんだね」――。
取材・構成:村山 陽 写真・デザイン:東美 資料提供:まんだらけ
協力:スターダストプロモーション・日本ベジタブル&フルーツマイスター協会
※調理した料理・食材は全てスタッフでいただいております※
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