歴史に埋もれた真実。魔女狩りとは何か…。
壮絶の極み。世界を恐怖の闇に叩き落とした魔女狩りのすべてが今、明らかに…。

月明かりの夜、魔法の香油を塗り、ヤギやホウキにまたがって空を飛ぶ魔女が集まる。そして、集会の中心には悪魔が座り、魔女は悪魔を崇めながら踊り狂う――。どこからどう考えても身の毛のよだつシュチュエーションを淡々と描く奇跡の古伝書「魔術妖術大図鑑」。当時の子どもたちを激しく震撼させ、消えることのないトラウマを色濃く植え付けることを得意とした孤高の出版社“立風書房/ジャガーバックス”が数十年前に発刊したジャリ本シリーズの一冊だ。中でも、この「魔術妖術大図鑑」は発行部数が異常に少なく、入手困難なウルトラレアアイテム。オークションやヴィンテージ取引上でなんと数十万円の値が付いている!
もちろん、その内容は古伝書がはじき出している現状の価値が描く魔術的放物線を完璧にトレースしており、人造人間ホムンクルスの製造法、最高の魔法薬“マンゴンドラ”生成法、ラスプーチンは妖術使いだった!という驚愕の真実、魔界大陸アフリカの殺人教団が使用する殺人呪術などなど、カルト&マニアック&スプラッターなその記事は、読むものを恐怖のどん底にデスバレーボムすること必至。魔術関連の専門書としても、十分に耐えうるどころか、常軌の逸脱具合はまさに魔法級。どこをどう切り刻んでも、出てくるものはすべて“!”なのだ。そして、その魅惑の飽和状態なバツグン記事の中で一番光り輝いているのが、魔女狩りについての記述なのだ。

「悪魔の力を借り、人びとを苦しめる魔女は実在した」――。古伝書は魔女について以下のように綴っている。「魔女は悪魔の力を借りて、様々な妖術を使い人々を苦しめる。特に、悪魔との付き合いが古い魔女は、嵐を呼んで一度に何百の生命を奪うのだ」と。中には、船をも沈めることができる魔力をもつものもいるという。魔女は自分を迫害した人を恨んでおり、嵐を呼んで村を全滅させるというのだ。OCNアニメで絶賛配信中の魔女っ子メグちゃんや魔法使いサリーちゃん、花の子ルンルンのような純真魔法少女までも……、彼女たちを見る目が一気に変わってしまいそうな驚愕の真実だ……。彼女たちも何かから迫害されていたのだろうか、人々を恨んでいたのだろうか!? きっと、スクリーンには映ることのなかった真実があったのだろう、だが今となっては真相は闇の中なのだが、そもそも、魔女はどのようにして生まれたのだろうか?
時代は中世ヨーロッパ。古伝書によると、いわゆる一般人とされる人々は、土地の領主や豪族、●●●●教会に支配され、馬車馬のように働かされ、すべてを詐取され、何の楽しみもない、迫害に近い生活を強要されていたそうだ。そして、まだ当時は●●●●教以外の神を奉る風習が各地に残っていたらしく、豪雨や嵐の様な震災やペストやコレラといた疫病などの災いが起きるたびに、それらの人々を異分子を“災いを呼ぶ民”として、迫害の限りを尽くしたという。そんな恐怖時代に生まれたのが魔女だ。魔女とされた人々は、人目のつかないところに隠れ住み、死の恐怖にうち震えながら生きながらえていたという。そして、時を刻むにつれ、その恐怖は凶悪な恨みへと変わり、やがては人々を呪うようになっていったそうだ。

魔女は本当にいた! それを実証する重要なケースが古伝書に紹介されている。その中のひとつを紹介してみよう。17世紀の終わり頃、フランスはルーダンという街にグランディエという美男の司祭がいたそうだ。ルーダンの修道院の院長だったジャンヌは、身分を忘れ、グランディエに恋い焦がれてしまい、副院長になってほしいと懇願した。ところが、グランディエはジャンヌの願いを断るどころかばっさりと拒否。ジャンヌはショックのあまりふさぎ込み、心を閉ざしてしまう。
そこに、悪魔が入り込んだ……。
ジャンヌは「グランディエ、わたしと●●●●してぇ〜」と言ったか言わないかは定かではないが、とにかくフランス書院も真っ青になるほどの卑猥かつお下劣な言葉をグランディエの名前を叫びながらことあるごとに口走るようになり、夜になると15の夜ヨロシクなぐらいに意味もなく街中を走り回り始めた。そして、ジャンヌの奇行は修道院全体に伝染し、他の尼僧らも●●●●化、狂った尼さんたちが街中をいやらしい言葉を叫びながら走り回るというOG的には大好物な大惨事に街中がパニックになってしまう。
程なくして、街の役人たちは「原因はグランディエにある」と、まさかの大岡裁きを爆発。グランディエを尼僧たちを狂わせた妖術使いとして火あぶりにしてしまう。するとあら不思議!尼僧たちの奇行はピタリと治まったのだ……が、グランディエを火あぶりにした裁判官や関係者はみな奇怪な死をとげるのだった。はたして、これはずべて魔女化したジャンヌの仕業なのだろうか……。

上記の様な事件が中世ヨーロッパの各地で起き始めたその頃、●●●●教は神をも恐れぬ強行に打って出る。それが“魔女狩り”だ。魔女狩りの風習は中央から各地にあっというまに飛び火。1233年には「異端審問制度」というホロコースト&ジェノサイド的な法律が制定、●●●●教を信仰しない人間を弾圧し、捕らえ、一方的な裁判によって処刑するという恐怖時代が幕を開けることになる。
初めの頃の魔女狩りはまだかわいいものだった。魔女として裁判にかけられた人は、私は魔女であるということを裁判所で認め、神に許しを乞うことと、●●●●教に改宗することで許されていた。
だがしかし、当時の高名かつ女性差別バリバリな高級僧侶が出版したという「魔女への鉄槌」という本が世に出回ってからは、魔女裁判は常軌を逸脱した残酷極まりないものへと姿を変えていくこととなる。
問題の凶悪本「魔女への鉄槌」の内容は今でいうHOW TO本みたいなものだったそうで、内容は魔女の捕らえ方から拷問の仕方、罪に対する厳しい刑罰がびっしりと書かれてあり、その狂った内容がそっくりそのまま魔女に対する扱いの基本となるのにそう時間はかからなかった。

魔女と疑われた人間の末路は100%“死”だ。だが、疑われる方にも一応の御慈悲的な規則は存在し、とにかく容疑者が魔女だと認めないことには話が進まなかったのだ。そこで、裁判官たちはなんとか容疑者を魔女として処罰するため、「魔女への鉄槌」に記された方法を用い、自白の強要を迫るようになる。爪を剥ぎ、指を切り取り、歯を抜き、皮を剥ぎ、目をくりぬき、全身に釘を打ち付けたりと……、凄惨という言葉ではまだ足りないほどの拷問を容疑者にくりかえした。
たいていの容疑者は、あまりの拷問に耐えきれず、早い死を乞うようになり、私は魔女であると自白する。さらに、裁判所は他の魔女の名前も言えと責め立て、適当な知人の名前を言わせては新しい魔女を作り上げ、罪もなき人を捕らえては拷問にかけて死に追いやるという大量虐殺を繰り返した。魔女の処刑は火あぶりと決まっていたそうだが、ほとんどの容疑者は火あぶりにされる前に息絶えたという。
魔女狩りはイギリス、フランスなどをはじめとする全ヨーロッパの国々で行われ、その凶行の波はアメリカ大陸まで飛び火し、数千万の罪なき命がたった数年でその光を奪われた。だが、なぜ●●●●教信派は魔女狩りという虐殺に走ったのか。古伝書にはその経緯についてこう記されている。

魔女狩りには隠されたカラクリが存在した。単刀直入に言うと、魔女狩りは儲かったのだ。魔女裁判では、教会、領主、裁判官など、●●●●教関連の重鎮や関係者などに金銭が転がり込むシステムになってたという。魔女と疑われた容疑者の家族から財産をしぼりとり、その財産が一部の人間たちに分配されていたというのだ……。つまり、当時一部の人間は魔女などいないことを知りながら、魔女の存在を巧妙にでっち上げ、魔女狩りと称して罪なき命を無惨に私欲を肥やすべく奪っていたのだ。
さらに、この古伝書には歴史を根底からひっくり返す様な驚愕事実が記されていた。それは魔女狩りの値段表だ! 驚くことに、魔女狩りで捕らえられた容疑者は壮絶な拷問、最終的には火あぶりで処刑されるばかりか、拷問料金や処刑料金を支払わねばならないという凶悪な決まりがあったというのだ。しかも、本人がそれらの金銭を支払えない場合は、役人が容疑者の家族からむしり取ったというのだ……。
神の名のもとに、強き者が弱き者を非情なやり口で弾圧し、私欲を肥やす。当時、魔女とされて命を奪われた人々はいったいどんな思いで天に召されたのだろうか。そして、魔女狩りが始まった年代から数えて数百年、現代社会においても、背景やプロセスは違えど、いまだこのホロコーストにも似た状況は、その時代に合わせて、形を変えながら根強く生きているような気がしてならない。
いつ、自分がいわれなき罪を問われ、弾圧され、命を奪われてしまうような恐怖が蔓延する時代は今、すぐそこにまできているのではないだろうか…。

とまぁ、シリアスな雰囲気に包まれた今回の特別付録なのだが、とにかく! この「魔術妖術大図鑑」は昭和40‘Sの子どもたちをトラウママグマに沈めまくった伝説のレア本なのだ。上記でこくこくと解説した魔女狩りなんぞはほんの一部で、OGには社会的に絶対掲載できないであろう世界魔術地図や、本気で製薬なんてされちゃったら編集部がこれまた社会的に潰れてしまうであろう魔法薬のトンデモレシピ、殺人呪術に人造人間の作り方にゾンビの生成法、泥水をワインに変える超魔術や魅惑の錬金術などなど、トンデモが盛りだくさん過ぎて思わず卒倒してしまいそうな代物なのだ。
これをただのトラウマジャリ本とおもしろがるだけじゃいけない。前号から続けて、もう一度語らせて頂くが、現代の子ども本が今、ここまでファンタジーを提供してくれるだろうか、想像させてくれるだろうか!? 核家族化、朝起きたらそこにはPS3のような次世代機やインターネットがあり、大人にならなきゃ見れないもの、子どもが見てはいけないものなど、ほんの少し探れば簡単に見れてしまう明け透けになってしまった現代だからこそ、こういった子ども本が必要ではないだろうか……。もはや麻痺状態にある子どもたちのドキドキワクワク感を取り戻すべく、OGはジャリ本が持つ可能性に今後も懸けていく所存だ。そこのところ、全国8900万のOGユーザーに読み取ってもらえれば、これ幸いなのだ。
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