今号のテーマは「日本の歴史好き」みたいな特集ということなんですけども、まぁただ歴史と言っても別にマジメに掘り下げるわけでもなく、ぶっちゃけサブカルチャンネルですので、そういったテイストで歴史好きな松村邦洋さんにいろいろと聞いていきたいと考えてます。
「いやいやいやー、ホントにありがとうございます」
こちらこそです。いきなり冒頭からアレなんですけど、歴史に絡んだ本を出されるということで?
「実はそうなんですよ、歴史のツイッター本みたいな感じで」
歴史のツイッター!? 具体的にどんな本なのかちょっと紹介していただければと思うんですけど。
「いろんな武将がですね、武将だけじゃなく武将を中心に歴史上の人物全体的にあつかってるんですけど、その中でもちょっと浮かばれないというか、地味な武将のほうがコメントっておもしろいんじゃないかと思って、そんな感じをつぶやきでやりまして」
ほほぉ。歴史の教科書だと、あまり出てこない人だとその人の人柄とか見えてこないですし、マニアックな情報もありそうでおもしろそうですね。
「ありがとうございます。昔、ビートたけしさんの物真似で、声はたけしさんなんですけどキャラは織田信長で『織田信長のオールナイトニッポン』みたいなのをネタにしたり、番組とかでもやらしていただいたんですけど、それが意外によかったんで」
それはおもしろそうだなぁ!
「織田信長がずっとこうね『バカヤローお前、冗談じゃないよお前。今日はオールナイトニッポンは有楽町じゃなくて本能寺をキーステーションに全国36局ネットでお送りします』って」
アハハハハ!
「『織田信長のオールナイトニッポン! この番組はザビエル・イエズス会、清州商店街楽市楽座友の会をスポンサーにお送りいたします』とかって感じのも入れたりして、『比叡山バカヤロー、比叡山てめえコノヤロー、あいつスポンサー降りるって言うからよ、焼き打ちしといてやったよバカヤロー』とか、そういうバカなことをラジオでやってて、そういうふうに歴史の武将が語りをしたらおもしろいかなと思って」
いろんな武将が出てくるんですか?
「例で言うと今川義元を出してきて、今川義元って歴史でいうと桶狭間しか出てこないじゃないですか。で、歴史のドラマでも公家みたいな感じで、太ってて、ってみたいな印象しかないですけど、実際はものスゴい弓の名手だとか名君として知られてるとか、いろいろ知らないことがあるわけですよね。そういったところを逆に愚痴にして広げていく感じですね」
かなり興味ありますね! ちなみに今川義元はどんな感じになるんですか?
「今川義元も声はたけしさんなんですけどね『バカヤロー、あんな太った役者に俺の役をやらせやがって』とか、『馬に乗ってない役にさせやがって』とか、『やたらとすぐ桶狭間で殺されちゃってよ、ろくなもんじゃないよ、俺の人生バカヤロー、もっといい役者つかえよ!』とか」
たしかにその通りかも(笑)
「『まあ悪役でいいんだけどよ、成田三樹夫さんとか中村勘三郎さんとかよ、たまには主役級で今川義元やってくれよ、バカヤロー』っていうのがあったりして」
最高です。そういえば、谷原章介さんもやってましたよね。
「『風林火山』ですね。『やっと浮かばれたよ、バカヤロー』」
アハハハハ!そもそも歴史が好きになったきっかけって、この流れだと大河ドラマだったり?
「まさにその通りですね。小学校の頃から大河ドラマをよく親と一緒に観てたんですよ。一番最初に観たのは『風と雲と虹と』ですね。平将門のやってた加藤剛さん、ライバルの悪役の平貞盛役が『タイムショック』の司会やってた山口崇さんで、ライバル役の藤原純友役に緒形拳さんでしたね。僕が、緒形拳さんを初めて見たのが、『風と雲と虹と』ですからね。小学校3年生でした」
小学校3年生で大河ドラマってかなりシブいですね。
「もう毎回親が観てました。当時はそれしかなくて他の各家もみんな見てました。『藤原純友いいなあ』なんて言って。親がああいうのを好きで見ている世代なんですよ、日曜日の8時はNHK見ちゃうっていう習慣っていうか、とくに田舎のほうはそうなんじゃないですかね」
裏番組を見てる人はいなかった?
「大河の裏でバラエティーやるとね、たいてい数字が取れない時代だったんですよ。TBSさんで『TVジョーカーズ笑』
って堺正章さんとかがやった番組のスタッフに知り合いがいて、その人曰く『いやひどいよ、2パーとか3パーだったよ』」
3%!
「そんだけじゃないですよ『1とか2がでんだよ。こっちは0.なんぼとか出ちゃったよ』って(苦笑)。裏番組で草刈正雄さんで『鞍馬天狗』ってのがあって、伊藤つかさが出てるからちょこっと見てたんですけど、あれなんかも田舎のほうの人はしょうがないから、他の民放チャンネルが2局しかないから回してみたってだけ」
その地区だけで視聴率を弾き出したら90%とかいくんでしょうね!
「さすがに『元気が出るテレビ』が始まったあたりからは『元気が出るテレビ』を観てたんですけど、ちょっとテーマが現代物になったときはあまり観なかったですね。『山河燃ゆ』とか『いのち』とかね。『いのち』って三田佳子さんと橋田壽賀子さんでやったんですけど、それはちょっと、なんか、『こんな内容なら朝ドラでやれよ!』と思って観てましたね」
大河ドラマに的確にダメだししてる子どもってイヤですねぇ(苦笑)
「いやぁ、でもやっぱりですね、江戸よりも近代はよくないです。できたら幕末までにしてほしいですね。明治維新でもおもしろいんですけど、やっぱり明治維新までですかね。明治何年ぐらいまでになる、っていうんならいいけど、やっぱりスタートが明治以降だとダメですよ。『いのち』っていうのはもう昭和ぐらいだったし」
やはり見た目は時代劇なほうがいい?
「やっぱり少しはチョンマゲがあったほうが、あればあるほどいいですね」
大河はチョンマゲ度で決まると(笑)、大河のネタって結構出尽くさないもんですよね。
「そうですよねぇ。だんだんプッシュする人物もなくなってきてますから、昔は悪役だった平清盛みたいなのがそろそろ主役になるみたいですね」
プロレスの悪役がヒールからベビーフェイスにターンするみたいな感じですね。
「そうですね。やっぱり悪役をちょっとスポット当ててみても、おもしろいんじゃないですかね」

今までの大河で好きなものをいくつかあげてもらえますか?
「そのものそのものにその時代の輝きがあるので、どれをトップ3とかにするわけにはいかないんですけど、パターン的にというか、史実に沿ってやってたのは、ジェームス三木先生の『葵 徳川三代』ですかね、ミョーなくらい徳川の史実に沿っている大河で、あたかもホントにタイムマシーンでその時代で見てきたんじゃないかみたいな」
そんなにリアルなんですか!
「あたかも、そばで見たような感じなんですよ。でも、それが大河の基本じゃないかなぅて思うんですよ。あとは『花神』ですかね。大村益次郎の、まあ、山口中心の幕末を吉田松蔭に始まり、高杉晋作につながり、最後は大村益次郎で終わる3人主役の花神ですかね。明治維新というものを野球で言う先発、中堅、抑えでやり遂げたっていう。あと、主役が途中で変わって行くというのはなかなかないパターンで素晴らしいですね。あと、自分の中でホントに興味をもって大河が観れたとなると、やっぱり『草燃える』ですかね。中島丈博さんの」
北条政子ですか、これまたシブい線でいきますねぇ(笑)
「北条政子ですね。『水戸黄門』のように、主人公はホントに正義の人で、周りが悪のような感じで描くんじゃなくて、ちょっと脚色が多くなってきたなって最近の大河に関して思うんですが、まぁそれはそれでおもしろいんですけど、『草燃える』とかに関して言えば、やっぱ北条政子が主役なんですけど、スゴくマジメというか」
北条政子が主役ってこと自体、今の大河じゃありえないですからね!
「女性が主役っていう自体なかなかないでしょう。あまりにも松平健さんの北条義時の芝居がうまかったのか、それはどうかわかりませんけども、どんどんどんどん北条政子を松平健さんが食っていくんです。松平健さんがやってた義時から目が離せなくなるんです。中島丈博さんが演技に惚れ込んじゃったのかもしれませんね、最終的には松平健さんのほうが主役になっていっているような」
撮影していく段階で変わっていったんでしょうね。
「心の純粋な北条義時が、どんどんどんどん汚れた性格になっていって、最終的に偉くなって鎌倉幕府を牛耳るんです、ものスゴい力を持った権力者になって。最初は平家というものを滅ぼすために、みんな一致団結で、頼朝のもとで一生懸命やってた。そのときの北条時政の息子としてチョコチョコと、弓矢も射れなかったような人間が、政子の陰に隠れながら、どんどんどんどん他の御家人とかも殺していくんですね。ホントの悪者だったんですね。時が経つにつれて悪人になっていく。しまいには親父を追放させてみたいな」
聞いてるだけでちょっと観たくなりますね。少年時代の松村さんが大河に魅かれたのもよくわかります。
「『草燃える』は随分ハマっちゃってましたねぇ。あと、大河を観ていて一番驚いたのはメイクなんですよ。『黄金の日日』って大河を観たときに、松本幸四郎さんがですね、まだ市川染五郎さんの時代ですけど、呂宋助左衛門をやってたんですけど、ドラマは年とった助左衛門で終わるんですが、そのときに若いときの映像がまた流れるんですよね。若いときと年とってるときと、メイクでこんなに変わるんだなと」
大河のメイクが気になる域にまで達してましたか!
「松本幸四郎さんがどんどん年をとって行く過程がね、メイクがホントにおもしろいんですよ。ただ、今はね、女優さんもね、やっぱ年とりたくないんですよね、ドラマの中で」
しかもハイヴィジョンの時代ですしね。
「なのでよけいに老け役やりたくないんでしょう。最近はね、こないだやってた『利家とまつ』っていう、おまつさんっていう前田利家の奥さんの役を松嶋菜々子さんがやってましたけど、そういえばのりピーも出てましたけどね」
まぁそこはどうでもいいとして(苦笑)
「のりピーはどうでもいいとしても(笑)やっぱりね、きれいなまんま終わっちゃってるんですよ。あんまりきれいなままやってると何も伝わらないんですよね。まあ、酒井法子が北政所なんですけど、本当だったらもう関ヶ原の戦い過ぎたら、もうシワシワでないといけないわけですよ」
見た目は鬼婆みたいになってないといけないですよね。
「ホントそう、鬼婆になってないといけないと思うんですよね。女優さんで言えば晩年の杉村春子先生ぐらいになってなければいけないと思うんですよね」
アハハハハ!
「杉村春子先生のようになってなきゃいけないのに、キレイなのりピーと松嶋菜々子さんのまま、そんなおまつさまと、その北政所が『いろんなことがありましたなー』って最後振り返るんですけど、『振り返るんだったら、もっと年をとってくれよ』と思いましたね」
そこはやはり松村さんが開眼したメイク道でもいいので。
「そう、大河はメイクですよ。かと思ったら、10代の役を岩下志麻さんがやってたりね」
かなり難しいですね。
「ベテランの人を若いころの役として使うとなると、そういうふうになりますけどね。でもまぁ、ベテランの人のほうが芝居がスゴく上手だし、感情移入もできるしおもしろいですけどね」
そんな高い目線で大河を見て、次の日学校で大河の話を友だちなんかとしてたんですか?
「小学校のときはガンガンしてましたね。『草燃える』はもうホントにみんな見てましたね。学校の授業でも先生とかが『草燃える』の話をするんですよ。でも、見ておくとね、歴史がやっぱり興味がどんどんわくから、好きこそものの上手なれで、社会の成績とか、意外と点が取れてましたよ」