違う国の人が共同生活をしていて、問題とか起こらないんですか?
「複数の人間が住むので、もちろん無いとは言えませんね。」
どんな問題が起こったんですか?
「食器を洗わない人がいるとか。」
マナー問題!?(笑)
「自分が食べて、また食べるときに自分が洗うんだからいいじゃないかと。でも、日本人の女の子とか、マメな人が多いからビシっと言われてしまう。『全員のハウスだから、キッチンが汚れていると気持ちが悪い。食器はシェアで使っている場合もあるから洗いなさい!』と。そうは言われても…みたいな。まぁ、日本人間でもよくあるような揉め事なんですけどね。」
それが国際的に行われているわけですね?
「韓国人とスペイン人が食器洗いについて口論しているとか、そんな状況ですね。」
素晴らしい状況ですね! まさに共生です! そういうことが起こると、すぐに行って解決するんですか?
「食器洗いについてはそこまで大きな問題にはなりませんが、スタッフがいなければ解決が難しい問題はすぐに行きますね。」
例えばどんな問題ですか?
「そうですねぇ〜。シェアルームの部屋に他のルームメイトが入った事があったんです。」
それは大問題の匂いがしてきましたよ!(笑)
「3人部屋の女の子の一人と、男の子がすごく仲が良かったんです。あるとき、リビングにいるときに、女性に『部屋に辞書があるから取ってきて』と言われたんです。」
普通に行きますよね。
「行きます、行きます(笑)。でも、タイミングが悪かったんでしょうね。女の子の部屋に入って、辞書を探していたその時に、同じ部屋の別の女の子が帰ってきたんですよ。それで『何してんのよ!』となったんですね。で、その女の子から『これは絶対におかしい』と連絡が入りました。」
現場に駆け付けた、と。
「連絡がきたときには、ハウス内で意見が二つに割れてました。『別に良いんじゃないか』という派と、『シェアハウスは、コミュニティを大事にしなければダメ』という派に別れた。」
それは大変だぁ! どうやって解決したんですか?
「全員をリビングに集めて、『君たちは日本に何をしに来たんだ?』という問いかけから始めるんです。『何か目的があったんじゃないのか?』という話ですね。『ボーダレスハウスというのは寮じゃなくて、キミ達の家だから、お互いを認め合い、そして自分たちで話し合って解決しなさい』と。家族みたいに住みたいんだから、話し合うことで解決できるはずだと。」
素晴らしい! 心に訴えかけて、その上で本来の目的を思い出させたわけですね!
「そうそうそう。みんなが共存するシェアハウスなんだから、別にこっちがルールを決めて、それに従わないから罰則を作るというわけではなく、自分たちで自分たちのルールを作る必要があるんじゃないかと。そしたらすぐにトラブルは収まりましたね。」
生活習慣とか宗教とかのトラブルとかはどうなんですか?お酒を飲んだらいけないという人もいるわけじゃないですか。でも、片やリビングでビールを飲む人もいる。そういった場合、トラブルは起きないんですか?
「特に、外国人はそういうことにとやかく言わないんですよ。自分が豚肉を食べないという人は、自分が食べなきゃいいだけなので、特に強制はしないですね。あとは飲んじゃいけないはずの人がお酒を飲んじゃったとか。(笑)」
飲んじゃいますか!(笑)
「何かダメな食べ物があったとしても、食べることは多いですね。日本にきたら、みんながあまりにもおいしそうに食べるから、食べてみたらうまかった、みたいな。みたいなノリはありますね。」
何か民族性の違いとかを感じることはありますか?
「やはり日本人について言えることなんですが、日本人って、何かが起こったときにどこか謙虚になりすぎるんですよね。」
あー、そういうとこ、分かる気がしますね。
「例えば外国人の人と『今日11:00に出かけようね』という約束をして、起きてこない場合があるじゃないですか。そんな時でも日本人は起こせないんですね。それで約束の時間直前に起きてきて謝るって『起こしてくれれば良かったね』という話になって、初めて気づくわけです。」
起こしてよかったんだと!
「そうです。それで『それじゃ何時に出かける?』という話になるんですが、日本人はここでも『すぐに準備して』と言えないんですね(笑)。ついつい『何時でもいいよ』と言ってしまう。それで、外国の人はその言葉を真に受けて、料理を作ったりシャワーを浴びたりしてしまう。それで『実はなるべく早く出たいんだけど…』という話をそこで始めて切り出すんです。そこで外国人は『何で早く言わないんだ』と。『自分たちは、日本人の1を聞いて10を知る、みたいな美学をよく知ってる。でも、自分たちはそういう環境で育ってないからできないし、分からない。だから言ってくれ』と。そういう話はよくありますね。」
異文化交流してますね〜。
「でも、それで互いに知るわけですよ。日本人のほうは『何で言えなかったんだろう』と。外国人のほうは『何で察してやれなかったんだろう』と。」
だんだん人間のレベルが上がっていくわけですね。
「そうですね。」
いろんな問題を基本的に話し合いで解決してるんですね。
「話し合いで解決することがほとんどであり、前提ですね。基本的にはシェアをするということで、みんなと一緒にモチベーション高く暮らしていきましょうと。一緒に暮らしていくに当たって、何かを学びたいというモチベーションは非常に重要で、それが審査のポイントになっていますね。」
コミュニケーションが重要なキーワードであると。
「それが全てですね。」

国同士がコミュニケーションを取らないようにしている場所ってあるじゃないですか。そういうところってどうしてるんですか? 一緒のハウスに入れないようにとかは?
「何もしてないです。最初の面接時に、基本的に全員に話します。全員とコミュニケーションを取れなければダメだけど大丈夫か、と。それで、何か異議がある人は何か聞いてきますよね。宗教とか政治的な絡みで『あそこの国の人間はキライだ』と。そうすると、ボーダレスハウスの審査は落ちます。」
そうですよね。イラク人とアメリカ人が一緒に住んでいるとヘンなことになりかねないですもんね。
「ボーダレスハウスはフラットですから、それが守れない人には住むことはできませんよと。」
じゃ、うまく行ってる人はいるんですか?
「いますよ。イラクとアメリカはいませんけど、過去に戦争をやった国同士が一緒に住んでいるというのは普通にあります。」
へぇ〜、それはすごい!
「みんな若い世代が多いので、価値観が違うんですよ。韓国や中国、東南アジアの人とかも、40代、50代の人と20代の人との価値観は全然違います。」
人種はどうなんですか?肌の色とか瞳の色なんかでトラブルはないんですか?
「ないですね。肌の色、眼の色、宗教、政治上のトラブルは過去に一度も起こったことがないですね。」
それはスゴイことですよ! まさに世界平和がここにある!って感じじゃないですか!
「ハハハハハ(笑)」
大勢が集まると、イジメとかはないんですか?
「ないですね〜。そういうのがあったら、すぐに言ってくると思いますよ。」
ネガティブな意識を持つよりさらけ出していないと生きていけない感じなんでしょうね?
「シェアハウスに住んでいる人はサバサバしている人が多いですね。あなたはあなた、私は私、みたいな。」
何か、話を聞いていると住みたくなってきます。ある意味、世界人になるための。学校みたいなもんですね。
「そういう部分はあるかもしれないですね。」
ここ出身で国際結婚とかないんですか?
「まだないですね。」
でも、将来的にはありそうですよね。
「それは出てくるでしょうね。今でも付き合っていて、未だに続いている人はいっぱいいますから、そういう人が結婚してくれたら、すごく嬉しいですね。」
どんな組み合わせが多いんですか?
「多いのは日本人の女性と外国人の男性ですね。私としては、逆をやってほしいんですよ。」
逆と言うと?
「日本人の男性に欧米人の女性をゲットしてもらいたいんです(笑)」
あはははは。なるほど! でも、日本人の男性って、引っ込み思案のところがあるんじゃないですか?
「あるんですよね〜。しかも、外国人の女性は強いんですよ。バシバシ言ってきますからね。欧米人に対して、何か『どうせ日本人は相手にされない』みたいな感覚ってあるじゃないですか、日本人って。」
あります、あります!
「でも、欧米人の女性に聞いてみると、そんなこともないんですよ。『日本人は優しいし、気も利くし、一所懸命働くし、すごくいいのに、日本人の男性側から何も言ってこない』と。単純にいいと思ったら、いけばいいんですよ!」
でも、日本人の男はやっぱりいけないんです(笑)。
「そうなんです、いけないんです(笑)。勝手に決めちゃうんですよ。いいなと思っても、どうせあいつはブルーアイズの男しか好きじゃないだろう、みたいな。こんな170cmのやさおとこの自分が行ってもはじかれるだろうと思っちゃってるんですよね。」
でも、実はモテてるという(笑)
「そうそう。大体ですね、欧米の女の子が日本に来ている時点で、日本が好きなんですよ。ヨーロッパなんかで『日本に行く』と言ったら『何でそんな遠くに?』って言われるんですよ。でも、その言葉を押し切って『日本の文化が好きだから』という。アニメや建築など、小中高あたりで得た日本の情報で、行きたいと思って来ちゃう人が多いんです。だから、私自身が勝手に思ってるんですけど、日本にくる欧米人って、けっこう欧米人の中の日本マニアみたいな人が多いんじゃないかと。」
あー! それは言えてるかもしれないですね!
「最近、やってきた人なんかはGACKTが大好きなんですよ。」
あー、ジャパンロックが好きな人、いますよね。
「僕たちが知らないようなインディーズのロックバンドとか、すごく詳しいんですよ。あとは日本のドラマが好きだとか。何かオタクっぽい要素があります。」
何か分かる気がしますね〜。

平均でどれくらいの期間で自分の国に帰るんですか?
「平均で半年くらいですね。」
そんなに短いんですか?
「大体、3、6、12が日本語学校やインターンシップの期間なんです。だから、3か月、6ヶ月、12ヶ月というのが多いですね。」
じゃ、長く住んでいるのは日本人なんですね!
「そうです、そうです。」
なるほど! それは素晴らしいですね! 長く一緒に暮らしていると思ってたんですよ。そうすると、トラブルも多いんじゃないかと考えていたんですけどね。
「昨年1年で300人以上くらいは入れ替わっていますからね。」
じゃ、ここで友達になって、その後の交流なんかもあるんですか?
「そうなんです。それがすごいんですよ(笑)。ここで暮らした後、ヨーロッパ旅行に行った人がいたんです。その時に『あ、スペインにあいつがいたな』とかで連絡したらすぐに会えちゃったとか。さらにその友達の友達と一緒に地元の人しか行かないような店に連れて行ってもらったとか、そういうことはたくさんありますね。さらにそこからフランスに行ってとか、そういう話を聞くと、いいことしてるなぁと感じますね。」
まさに世界中に友達がいる感覚ですもんね。
「ボーダレスハウスの目的は『世界をつなぐ』ということなんです。そこに近づいている感じはします。それに加えて予測してなかったつながりも出てきてるように感じます。」
今後のことを考えても、380人という人数がいるわけですから、さらに発展する部分も出てきそうですよね。
「そうですね。現在は380人ですけど、年間を通して千人以上の人の出入りがあるわけですからね。」
テレビとかどうなってるんですか?
「リビングに1台だけですね。コミュニケーションが主な目的なので、個人での所有は認めてないんです。」
じゃ、チャンネル権争いとかぼっ発しないんですか?
「あるかもしれないですね〜。でも、パソコンにワンセグチューナーをつけて録画したり、携帯で見たりと工夫はしているようです。でも、基本はリビングにいる人同士で話し合って決めているようですね。」
現代の核家族にはない状況が、異国の言葉で成り立っている感じですか?
「面白いのは、日本人が日本語で話して、外国人が英語で話す。リスニングを相手の言葉でして、話すのは自国語みたいなコミュニケーションをよく見かけますね。」
へぇ〜! 理想国家じゃないですか。世界がそうなれば、けっこうまとまりますよね!
「あー、いいですねー(笑)」
話を聞いていると、日本人が教えてもらっていることのほうが多い気もしますね。
「うーん……。そこは外国人が驚いていることもたくさんありますね。桜とかも驚いてましたね。4月になると日本はこんなにピンクになるんだ、と。花見なんかも理解しづらくて、なぜ花の下で日中からお酒を飲みながら騒いでいるのか分からないわけですよ。でも、そこは『日本には桜のブランドがある』ということに気づくんです。だから、花見ツアーなんかも企画している場合がありますね。」
そんな日本ですが、世界の中では観光地としては下位のほうなんですよね。そんな状況をどう思われますか?
「下手なんだと思うんですよ、日本という国が受け入れ態勢を作ることが。上の省庁は、日本を観光立国にするぞと頑張っているわけですが、地方の居酒屋なんか、外国人がくると困るわけですよ。そういった部分をしっかりと落とし込んでいかないと、真の意味での観光立国にはならないと思いますね。外国人も本当は行きたいんですよ。立ち食いそばも食べたいし、牛丼も食べたいんですよ。でも、言葉が通じなかったらイヤだなとか、恥をかきたくないなとか、いろんな思いがあるんですよ。そこまできちんと制度化してあげないと難しいかなと思いますね。」
ボーダレスハウスをプロモートするということは、日本をプロモートするのと同じようなことじゃないですか? その視線で見た時に、現在言われている「JAPANブランド」が違うだろ! って部分はありますか?
「日本は日本の伝統文化をウリにしていますよね。そのイメージできた外国人は『もっと日本人はつつましやかで、モノ静かで謙虚で…』というイメージを持っているんですよ。ところが実際に来て見ると、イメージとのギャップを感じるようですね。『意外とノリがいいじゃん!』みたいな。しかも、外国の文化も取り入れているし。日本人といえば、着物着て、他の国のものを受け入れるのが苦手、みたいなイメージを持つみたいですね。パンフレットを見ると。」
街を歩けば、英語だらけですよ!
「だから、普通に雑誌見ても読めちゃうよ、みたいなね。それくらい英語ばっかりだし、看板も英語ばっかりだし、ニューヨークも東京も言語レベルじゃ変わらないじゃん!ていうことを言ってた人はいますね。」
逆に、今の日本を外国に知らしめたほうがいい結果が得られる、ということですか?
「そう思いますね。今のところ、日本の古きよきところばっかりを伝えているんですよ。」
寺、富士山、着物の女性、桜になっちゃうんですね!
「もっと、アニメーションがこんなふうに拡がっているとか、建築家がこんなことをやっているとか。そういうことを伝えればいいのに、なぜ、古きよきものばかりを見せたがるのかな、という思いはありますね。実際に、そういうものを観光している若者は求めてないんですよ。それよりも、現在の日本のナマを知りたがっているように感じますね。」
もっとね、日本家屋の間にあるスターバックスとか……そういった部分ですよね。ボク、エジプトに行ったとき、ピラミッドの横にマクドナルドがあるのを知って驚きましたもん!
「ありますよねぇ。」
そうですよ。マクドナルドとかケンタッキーとか。びっくりしたんですよ! あれと同じ衝撃があると思うんですよ。
「そうそう。大声出して売っている魚屋の隣にスターバックスとかね。それを見せたらいいんですよ。それを築地の魚屋のかっこいい写真だけを見せるから生の日本のナマがよく分からなくなる。だから、実際に日本にきた外国人は『日本って色んな文化が混ざってるね』って言いますよ。そして、『それが面白いじゃないか』と。日本の現在の文化をしっかりと伝えることができれば面白いと思いますね。」
日本の観光プロモートがしっかりすれば、留学とかも増えて、うまくいくと思いますけどね。
「それはつくづく思いますね〜。」
では、最後にOCN OGの読者へのメッセージなどをお願いします。
「日本語がまったく話せない外国人とコミュニケーションをとるドキドキ感が、新しい自分の強さを作ります。オンラインゲームで会話しているときは、話さなくても大丈夫なんですよ。でも、目の前にいたら、話さないと逃げられない。コミュニケーションは常時接続なんです。そして、コミュニケーションとは、決して一方通行じゃないので、向こうも何かを感じ取ろうとしているわけです。それこそ真剣に聞いてくれるし、こっちもボロボロの英語を使って、伝わったときってすごく大きな感動を感じるんです。キレイな英語を使ったり、スマートにコミュニケーションを取ることが異文化コミュニケーションじゃなくて、単語1個、2個並べて伝わるほうがキレイなコミュニケーションだと思います。だから、そのドキドキ感をぜひ味わってほしい。そこは日本人同士でも同じですよね。威圧感のあるおじさんと話すとき、ドキドキするじゃないですか。外国人でも同じなんですよ。英語をキレイになくてもコミュニケーションできますよ、と言いたいですね。」
街に出て、いろんな人と話す。日本人も外国人もない。同じ地球に共存しているという意識を持てるといいですよね〜。本日はどうもありがとうございました!

シェアハウスという住居形態は今後、さらに発展していくものだと感じさせられた。というのも、そこには現在の日本が忘れかけた古きよき時代のコミュニケーションが存在しているからだ。共に生き、共に存在することを認め合う、それこそが異文化コミュニケーションの入口である。そして、そのためにはシェアハウスという形態は最適なのではないだろうか。
外国人に話しかけるのは通じるか通じないか分からないから怖い――。確かにそうだろう。しかーし! その一瞬のためらいによって、大きなチャンスを逃しているのも確かである。作内氏の話にあったように、日本にくる外国人の多くは日本のことを大好きで、日本人とたくさん話したいと考えている。そして、きっと外国人女性は日本の男性に好意を持ってくれているのである! 想像してほしい。欧米人の美女と一緒に街を歩く自分の姿を! そんな絵空事だと思っていたことが、ほんの少し勇気を出せば現実になるかもしれないのである。
そんな動機「自分の成長のため」とか「語学を学びたいから」などと肩肘張っていたらリラックスできないじゃないか。ちょっと興味を持った人がいたら、まず話しかけてみる。それは外国人でも日本人でも変わらない。その姿勢を持つことが、結局は自分を新しい境地へ連れていくことに繋がる。動機なんてなんでもいいのだ! 最初はドキドキするだろう。しかし、やがてそのドキドキが快感に変わり、どうにか話が通じた瞬間には最大の幸福感が訪れる!
OG読者よ。世界はすごい勢いで動いている。それに合わせるように日本という国も激しく変化している。街へ出て、話して、自分を中心としたコミュニティやパーティを組み、リアルなオンラインコミュンケーションを楽しんでみようではないか!