
今号のテーマは「この世知辛い世の中をいかに“生存するか”ということで、荒波だらけの芸能界を見事にサバイブされているダチョウ倶楽部の上島竜兵さんに“生存”の秘訣を伺い、現代社会をしぶとく生き抜くヒントを得られればと思っています!
「オレでいいんですかね? オレなんて芸能界からまったく必要とされてませんよ」
いやいやいや、上島さんは唯一無二、代わりっていないじゃないですか!
「え!? そう? そういうのいいなぁー、もっとドンドン言って!」
褒められる方が伸びるタイプ?
「まぁ、キライじゃないですね(満面の笑みで)。逆に怒られるとすぐにやる気とかなくしちゃったりするんですよね」
叩かれると伸び悩む?
「ですねぇ、ダメ出しとかされるのは大キラいですね。でも、それはお笑いだけのことであって、それ以外のことをとやかく言われても、全然何とも思いませんね」
お笑い以外のことだったら何を言われてもいいと?
「もう全然。いかに生活がだらしないかとか、いかに金に汚いかとか、わきが臭いとかウンコを流さないだとか、何を言われても全然大丈夫ですよ」
じゃあ上島さん、早速なんですが口がとんでもなく臭いですねぇ。
「う〜ん、やっぱりちょっとイラっとしますね」
アハハハハ! じゃあ今回は褒め褒めアゲアゲなインタビューでいきたいと思います。まずはこの業界に入られたきっかけから?
「最初はね、お笑いじゃなくて役者をやりたかったんですよ。で、やっと劇団にも入れて役者の道に入るんですけど、いつまで経っても下っ端でろくな役も貰えずに、公演の裏方ばかり、小道具や大道具なんかも作らされたり(苦笑)」
思い描いていたヴィジョンとは違った?
「全然違いましたね。劇団に入りさえすりゃ役なんてポンポンあると思ってましたから。でも、現実は違って、そういう下っ端な道を10年以上続けて、そこから劇団内ではようやく1人前というか、良い役を貰えるようになって、テレビのちょこちょこっとした役も貰えるようになるんですけど……」
そこまでジッと耐え忍ぶなんてできないと判断した?
「オレにはできませんでしたね。寺門(ジモン)君もいっしょだったんですけど、どうにもこうにも上にはまったく上がれなくて……。兵庫の田舎から役者になりたいって夢一つで上京したわけですけど、とにかく考えが甘かったですね」
上京さえすれば何とかなると思った?
「その通りです。東京に行けば何とかなる、仕事もポンポン舞い込んで来るって勘違いしてたんですよ。でも、現実は全然違って、劇団の入団試験にはもう落ちまくりましたし、やっとこさ合格しても、その中でまた“ふるい”にかけられて、そこからさらに査定されて(苦笑)」
あれ!? おかしいなと?
「ガッカリですよ……。ホントに、オレみたいなヤツはもう山ほどいるわけじゃないですか、そこで生き残るってかなり大変なんですよ。で、だんだん心も折れてきて、『この世界はないかなー』って」
そこで頑張ろうとは思わなかったんですか?
「『これ無理!』って気持ちの方が大きかったですね。で、そのまま劇団も辞めちゃうんですけど、劇団の先輩にコント赤信号さんがいらっしゃって、寺門君と『オレらもコントでもやってみようか』ってことになって、ネタを作って渡辺さん(正行)に見てもらったんです」
そこで絶賛されたからその後お笑いを目指したとか?
「いや、それがもう『お前ら、10年かかるよ』ってボロクソに言われましてね。まったくおもしろくないと(苦笑)。で、渡辺さんに『お前らコントやるんだったら肥後(克広/以下、リーダー)ってヤツがいるから会ってみるか?』ってことになって。リーダーはオレらと違ってお笑いを目指してる人だったから、ネタの作り方とか知ってたんですよ」
上島さんは知らなかったんですか?
「そんなもん今でも知りませんよ」
アハハハハ!
「寺門君とふたりだけのときは『とにかくバカみたいなことをやってればいい』みたいな感じで作ってたんですよ。ネタの大半がダジャレみたいなどうしようもないものもありましたねぇ(苦笑)」
それは辛いですねぇ……。
「でね、リーダーを交えて新たにネタを作ってやってみたら、これがけっこうおもしろいってことになって、そこからですね。なんとなくお笑いの世界に足を突っ込むのは。最初はお笑いやりながらも『いつかは芝居がやりたい。役者になりたい』って気持ちはどこかにあって、お笑いで名前を売って、最終的には役者になれたらなって青写真を持ってたんですけど、でもだんだんやっていくうちに、これはまぁ失礼なんですけど、そっちのほうに興味がなくなったって感じですね」
今思い返してみて、役者への道という夢を自ら断ち切ったきっかけとして上げるなら?
「それはもう『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』ですね」
出ましたね(笑)
「あの番組でいろんなリアクションとかをやっているうちに、お笑いがだんだんとおもしろくなってきたというか、最初の方は全然ダメだったんですけど、3回目の放送(1990年)あたりからなんとか運が向いてきて、それからいいポジションをもらえだして、7回目の放送(1991年)では優勝もさせていただいて。そのあたりからですね、この道でやっていけるんじゃないかって、偉そうですけど」
お笑いウルトラクイズという番組を通して、ダチョウ倶楽部はもちろん、上島竜兵という芸人を知った人は多いと思います。
「オレもそう思いますね。それまで『テレビ演芸』だとか『お笑いスター誕生』なんかで、いろんなネタ番組で勝ち抜いたり、賞やなんかを頂いたりもしましたけど、お笑いウルトラクイズはやっぱり桁が違いますね」
数々の伝説クイズがありますが、個人的に上島さん絡みのクイズのナンバーワンは、ポール牧師匠(故)が同性愛者を熱演、若手芸人を部屋に呼び、芸の説教すると見せかけて禁断のゲイ関係を迫るというどっきり「人間性クイズ〜ポール師匠は男がお好き〜」ですね。
「あのホモどっきりのやつね、あれはおもしろかったですね!最初に石塚君(ホンジャマカ)が師匠に騙されてね(笑)」
石塚さんは「ここで師匠の禁断の要求を断ったら芸能界にいられなくなる」と覚悟を決めて、最終的には自らパンツ一丁で布団に入っちゃうという(笑)
「ポール師匠の演技がすごく上手かったもんですから、石塚君、そうとう怖かったと思いますよ。だってねぇ、あれがホントだったらもうやるしかないですからね。で、石塚君の後にボクが師匠に逆どっきりをやるんですよ」
師匠の誘いをあっさり受け入れて逆に師匠に肉体関係を迫るという(笑)
「師匠がオレのおっぱいをいきなり揉んできたりしてね(笑)」
上島さんのおっぱいを揉みながら「生意気なオッパイしてるわねぇ」っていう師匠の極上過ぎる口撃に、「だって師匠、奥さんがいらっしゃるじゃないですか」って言いながら浴衣を脱ぎ始める上島さんの返しは神ですよ(笑)
「いやいや神なんてそんなそんな(満面の笑みで)。そこはまだ事の最初のほうなんですけど、もうそのあたりから師匠の顔が『あれ、こいつおかしいな?』って表情なんですよね」
そのまま布団に入って「師匠、ポールって呼び捨てにしていいですか?」「い、いいわよぉ(師匠)」「ポール?」って師匠に襲いかかるシーンは奇跡ですよ!
「奇跡だなんて言い過ぎですよぉ(喜)。あんときねぇ、たけしさんもなかなかハリセンを持って止めにこないもんだから、師匠あわてて逃げちゃってね」
同じ人間性クイズシリーズで〜チャンバラトリオ結城哲也はSMがお好き〜の逆どっきりも最高でした!
「あれもポール師匠のときと同じように、結城師匠が力関係でもってホモSMを若手芸人に強要するというどっきりだったんですけど、ボクがまた逆に仕掛けてね(微笑)」
結城師匠が「お前はこの世界でなんでもできる覚悟はあるか? この世界なんでもせなあかんのやで」って数々のSM道具をカバンから取り出すんですよね。
「手錠かけられてムチで打たれるんだけど、結城師匠もオレが驚くのかなと思ってたら『アァーン』って喘ぐもんだから師匠が逆に驚いちゃって」
「結城師匠って他人行儀だから“白ブタ”って呼んでいいですか」って、そこから結城師匠と上島さんが「この野郎!」「白ブタ!」って叫びながらパンツ一丁でムチで叩き合うっていう衝撃映像は今だったら絶対にお茶の間に流せませんよ!
「100%無理、今だと苦情殺到だろうなぁ。おかしいのが、結城師匠ね、ムチを振り回しながら『お、お前ホンマもんちゃうか?』ってボソって小声で言うんだよねぇ(笑)」
アハハハハ! 上島さんはビビったりしないんですか?
「師匠が焦ってビール瓶を持ったときはさすがにヤバいかも思いましたね」
むこうも必死でしょうしね。師匠たちにこんな仕掛けをしてやろうって考えて挑んでるんですか?
「収録の前には決まってメンバーに相談しますね。でね、ポール師匠のときも『師匠』だったらつまらないから『ポール』って呼び捨てにしたほうがおもしろいよとかリーダーにアドバイスしてもらったりとかね。考えてた事は全部ハマりましたね。リーダーは『使う使われないはもう別にしてウンコするぐらいが絶対いいよ!』ってまで言われて(苦笑)」
さすがにウンコはマズいでしょ!
「でも、出なかったんですよねぇ(残念そうに)」
出そうとされた! っていうか、出たら出してたんですか?
「出してましたね(きっぱり)」
アハハハハ!
「さすがにあそこでウンコはひねり出せませんでしたね。でもまぁ、人間性クイズは爆笑も頂けて、たけしさんもスゴく喜んでくれましたし、オレの人生における重要なポイントひとつでは絶対にありますね」
上島さんのお笑いの核みたいな部分にも影響が?
「ありありでしたね、ホントに勉強になりました。オレが師匠たちに逆どっきりを仕掛けて、それが美味しくなるのも、それはオレの前にですね、それこそ石塚君とか何人かがちゃんと騙されてて、それがあってオレの仕掛けが生きてくるんだなって。それまでは自分だけ美味しけりゃいいとか、自分だけがおもしろく見えればそれでいいって思ってたんですけど、それじゃこの先絶対ダメだなって」
芸能界で生き抜いていくにはという部分を考えるきっかけにもなっていると?
「その通りですね。ひとつの笑いにはどんなものにも必ず“ふり”があって、そこを美味しくするために丁寧に丁寧に“ふり”を築き上げていく。そこを知らないとこの世界でやっていけないなって、その頃は理論じゃなくて、そういうのを体で覚えましたね。断崖絶壁からの逆バンジーをさせられてそのまま服が脱げて真っ裸になるっていうのも、なんで美味しいかってなったら、それはオレの前に何人も飛んでくれているからなんです」
「人間スカッドミサイル」ですね! 逆バンジーで服が脱げて真っ裸って、今考えるとかなり斬新な絵作りですよね。
「今だとなんだか普通に見えますけど、当時はそんなバカバカしいものなんてなかったですからね。だってね、もうマンガみたいなもんじゃないですか。小太りの男が泣きながら逆バンジーで飛んで行ったら服が脱げてフルチンになっちゃって、そのまま飛んで行くんですもん」
言葉にすると強烈にバカバカしいわけなのですが(笑)、 あれはどういうところから生まれたんですか?
「お笑いウルトラクイズはテリー伊藤さんやダンカンさんが作家で入ってらっしゃるんですけど、『竜ちゃんはただ飛ばすだけじゃダメ、服が全部脱げちゃって裸になったら美味しい』ってだけだと思うんですけどねぇ」
その服についても、だんだんとあからさまに“脱げますよ”的な細工が見え見えな服になっていきますよね。
「あれはね、もう何度も何度も失敗してるんですよ。中途半端に脱げちゃうとかね。もうスパッといきたいじゃないですか、美しく散りたい!と。なので何度も試行錯誤を繰り返して、改良に改良を重ねて、最終的にはウド(キャイーン)とふたりで逆バンジーで真っ裸になって、上空でディープキスできるまでになったんですよ」
アハハハハ! 他にも上島竜兵の芸人人生を支えたクイズってありますか?
「印象的なものはやはり死にかけたクイズですね、しかも死にかけてたってのを後で知らされるものがありましたね」
死にかけたていたことを後から知らされたんですか!?
「事実を知ったのは収録から数えて1年後ですね。高速モーターボートの先っちょに縛られて、湖のど真ん中に爆薬は仕掛けられた観光船が浮かんでいて、そこに全速力で突っ込んで観光船が爆発するんですけど」
ナンシー関さん(故)も大絶賛したという「モーターボートウィニングラン」ですね! 上島さんがボートを降りた後の絶叫マイク「これがオレの芸風だぁぁぁぁ!」には日本国民全員が感動しましたよ。
「ありがとうございます(照)。でね、その撮影から1年くらい経った後に、そのモーターボートを運転していたスタントマンの方と話す機会があったんですけど、その方がね『竜ちゃん、あんときは助かったよね』って意味深な感じで言うんですよ」
いったいなんなんでしょうね?
「オレもなんだかわからないじゃないですか。だから『なにが?』って聞いたら、ボートが観覧船に突っ込んだときに、観光船の破片がスタントマンの方の頭におもいきり当たったみたいで、気絶しちゃったみたいなんですよね、8秒くらいって言ってたかな」
高速運転中に8秒も気絶してったんですか!
「そうなんですよ! スタントマンの方も『気付かなかった?』って、そんなもん先っちょに縛られてるんですから見えるわけないじゃないですか。でね、『いやぁ、途中で目が覚めたからよかったけど、あのまま気付かなかったら岸壁に衝突してふたりとも死んでたよ』って。もうそれを聞いた途端に気分が悪くなっちゃって」
うわぁ、そんなことってあるんですね。
「ありますよ。そういうのがあるんですよ……。いくらシュミレーションをしても、そういうことが起きちゃうんです。まぁ、そういうのが美味しい結果に繋がるんですけど」
例えば他にどんな“繋がり”がありました?
「例えばリュックサックが爆発するやつですね、ご存知ですか?」
『リュックサック爆破クイズ』ですね! クイズに答えられないと背中に背負った火薬満載のリュックサックが爆発するという、これまた今絶対に放送できない代物ですよね。
「リュックサック爆弾なんて見た目がもうそのまんま自爆テロですからね(苦笑)。でも、まぁもちろんご存知だと思うんですけど、あれって爆破スイッチは自分が持ってるんで、自分タイミングで爆破できるんですよね」
できるんですよねって、ある意味そっちの方が過酷だと思うんですけど(苦笑)
「操作で爆破されるよりかなりの勇気がいるのはたしかです。でね、お約束通りにクイズに間違えて、砂浜を走って逃げながらそのまま爆破したりとかしてたんですけど、オレらは3人で防波堤から飛び降りて空中で3人揃って爆破しようってことにしたんですよ。で、いざ飛んでみたら落ちていく重力っていうのかな? 風圧みたいなのでリュックサックが背中から後頭部に浮かんじゃって」
そのまま爆破しちゃうと後頭部へのダメージは深刻ですよね。
「でも爆破はしなきゃいけないからおもいきってドーンとやったわけですよ。後頭部で爆発したのはわかるんですけど、すぐに海に落ちましたから痛みはなかったんですよ。でね、よかったよかったと思って岸に上がったら大爆笑なんで何かと思ったら、リーダーの後頭部からおもいきり煙が出てて」
後頭部が燃えちゃいましたか!
「軽くなんですけど、髪の毛が焦げちゃってね。そんなリーダーを見て『美味しいなぁ』って、『オレもなんかなってねーかな』って思って後頭部を触ってみたら髪の毛が大量にゴソって抜けちゃって」
アハハハハ!
「ああいうアクシデントは心の底から嬉しいですね。あとはそうだなぁ、印象的なのは粘着ものじゃないですかね」