
そもそも「アイマス」ってどんな感じで生まれたんですか?
「最初はゲームセンター、いわゆるアーケードにゲームを置いて、そこにどうやって人を呼ぶかってところからなんですよね。そこで出た案が『メルマガ』で、ただ単にメルマガがきても迷惑メールみたいなもんですから、だったら女の子からメールがきたほうがいいだろうってことで」
アイドル育成ゲームを世に出すという順番じゃなかった?
「ですね。で、アーケードだったら“対戦”っていうカテゴリは外せないって思って、対戦要素に女の子からメールが来るという案をプラスしたゲームを出そうと(笑)。でも女の子が戦うのはちょっとなぁって」
女の子が対戦格闘するというのもいかがなものかと思って?
「女の子はやっぱり戦うよりも歌ったり踊ったりしてるほうがかわいいし、華やかだし、癒されるじゃないですか。その頃、丁度ユニット的なアイドルや、そういったアイドルになるためのオーディションなんかが芸能界を賑わしていたものですから、アイドルを育成して、それを競わせるっていう世界観がおもしろいんじゃないかって考えて」
狙いは大的中!ってところですね。
「他にこういうゲームがなかったのもあると思います。あと、やっぱり女の子をプロデュースするという部分がユーザーのハートを掴んだんだと思いますね」
アイドル候補生のかわいさにもハートを掴まれてるんでしょうけど。
「アハハハハ! でも、このゲームには最初から“萌え”の要素は入れていないんですよ」
たしかに、不思議と萌え萌えな感じはしませんね。
「ボクがこの「アイマスSP」をプロデュースすることが決まった頃のことなんですけど、普通にデスクにいたら、後ろの方からスタッフが話してる声が聞こえてくるんですよ。『坂上さんにアイマスなんてできるわけねーじゃん!』って(苦笑)」
それはまた物騒な会話ですね(苦笑)
「ボクがいることを知らなかったんでしょうけど。で、その後も『坂上さんに“萌え”特性なんてないんだから無理だよ!』って。まぁたしかにボクには“萌え”特性なんてものは微塵もないんですけど……」
アハハハハ! でも、個人的には最初から“萌え”特性を盛り込んで創るゲームってどうかと思いますけど。
「ボクもそう思います。ゲームで一番大切なことって、日常以外のことを“体験”させてあげることだと思うんです。そして、その様々な体験をすることができる世界をゲームとして“創造”することだと思うんですよ」

「アイマスSP」の世界観でいうと、アイドルをプロデュースする世界をゲームとして創造する?
「そうですね。純粋に女の子をアイドルに育て上げていくという作業をいかに体験させてあげるかが最重要課題でした。萌える萌えないは最後に出来上がったときにユーザーがどう判断するかで、自由に考えてくれたらそれでいいんじゃないかって」
“萌え”をプロデュースすることは完全にカット?
「ボクの中で完全にカットしましたね。このゲームはアイドルを育成するという楽しみ、おもしろさを“遊ぶ”ゲームとして出したかったんですね。逆に“萌え”的な部分をクリエイトして出しちゃうと、“そういう”ジャンルのゲームの枠から抜けることはできないですし、マイノリティなものになってしまうと思うんです」
実際のアイドルもそうですよね。そこの部分まで狙われると、作られた感がアリアリでマスになることはかなり難しいですし。
「作られた感があるアイドルってやっぱりそこそこじゃないですか。ゲームもそうだと思うんです。そういった部分は狙っちゃダメですし、マスには届かない。ボクはこの世界観をある特定の人たちだけじゃなく、マスに伝えたいと思っていましたし、でないとゲームを創る意味がないでしょう」
その通りだと思います。ひとつ疑問だったんですが、なぜユーザーをマネージャーじゃなくプロデューサーにしたんですか?
「アイドルの卵をいかにしてトップアイドルにするかっていう熱意に、その子の人生に対する責任って部分も感じてもらおうと思ってそうしました。そういう職業ってプロデューサーなのかなと。今回のPSP版はひとりずつ入念にプロデュースするというシステムにしていますし、今までの「アイマス」よりも女の子との繋がりをとことん感じることができると思います。また、その繋がりの強さもゲームを進めていく上で重要な要素になってますね」
例えばどんなところでそれを感じられますか?
「全部はもちろん言えませんけど、例えば挨拶ですね」
挨拶?
「はい。例えば『おはよう』の挨拶ひとつで状況が、女の子のその日のテンションがガラリと変わってしまう可能性があります」
「おはよう」ひとつで明暗が分かれちゃうんですか!
「実際に人間というものはそういうものですよ。明るく挨拶をしてあげたら『嬉しいな』って思われるときもあれば『そんな気分じゃないのに』ってときもあります。女の子の心の変化を優しく包み込んで見てあげることが、絆を深くできるかという部分に繋がり、トップアイドルへの道も開けるんです」
「アイマスSP」攻略は女心を理解することも重要だと?
「そこはもうかなり重要ですね。しかも正解がないんです」
正解なし!女心って難しいなぁ……。
「一筋縄じゃいかないですよ。いつも優しいだけでもダメですし、たとえばオーディション前の挨拶なんてのはもうどうしていいかわからないですよ。ひと言間違うだけで全てが狂い出しますからね!」
ただ「頑張れ!」って言うだけでも……。
「プレッシャーに思う女の子もいれば、『頑張るぞ!』って奮起する女の子もいますし、そのときの気分によってそれぞれ全然違いますからね。オーディション前にそこらへんを間違ったらとんでもないことになる恐れもありますし」
とんでもないこと?
「キャラクターによってはドタキャンとかしますからね(苦笑)」
そ、そこまで……。
「大切なオーディションでそれをやられちゃうとのちのちダメージが大きいんですよ」
それやられちゃうと痛いなぁ。とにかく、瞬時の判断力が重要になってきますね!
「判断力はかなり養えますね。あとは女心もわかるようになると思います。しかも、即選択、即実行が常です。優柔不断だとプロデューサー失格なわけです」
だからといって失敗を恐れるのもダメですよね!
「その通りですね。プロデューサーの楽しみと同時に苦しみも体験できちゃいます。根性はかなりつきますよ(笑)」

ユーザーを楽しませて苦しませちゃうキャラクターについてもお聞きしたいのですが?
「はい。キャラクターの性格にはこだわっています。おっとりな子もいれば、元気でボーイッシュな子、ツンデレもいれば、歌を歌うということに信念を持っているストイックな女の子。アイドルという存在をまんべんなくバラエティー豊かに反映させた感じですね」
中でも坂上さんお気に入りのキャラクターっていうのは?
「そうですね、お気に入りといえば全員なんですけど。亜美と真美っていう双子はプレイしてておもしろいなって思いますね。基本的にデビューするのは亜美なんですけど、双子なんでよく入れ替わるんですよ」
それはまたおもしろい設定ですね!
「ふたりのやり取りは漫才を見てる様な感じでおもしろくて、思わずニッコリとしてしまうんですよね。ユーザーの人気が比較的に高いのは千早ですかね」
これまたなんで高いんでしょうかね?
「なんででしょうねぇ? 実際、千早はかなり難しいキャラクターなんですよ。歌うことにストイックで、歌う場があるならとしょうがなくアイドル活動もやってくれるんですけど、とにかくテンションを維持させるのが難しい女の子で、ちょっとあるとすぐにドタキャンとか(苦笑)」
それはいかんですねぇ。
「テンション次第で『ここで休んじゃうの?』っていう肝心な場面でやっちゃうんですよ。あと何周しかないのに……ってとこでねぇ。でも、プロデューサーとしてはそういった部分も全部汲んであげないといけないですし、彼女をプロデュースするのはかなり苦難の道ですね」
でも、そういった難しいキャラに人気が集まっているという部分もおもしろい傾向ですよね!
「ゲームとしては最高の流れですよね。ユーザーがプロデュースを体験する楽しみを感じてくれているんだなっていう実感が持てて嬉しいですね」
なるほど! でも、この9人のアイドルを全員ユニットにして売り出せばそれこそ最強なのでは?
「最強でしょうね。もう全員がそれぞれアイドルとして特化できる属性を持ってますからね。でも、やはりピンということで。今、実際のアイドル業界もいかにしてピンで通用する人材を育て上げるかが重要視されてるわけですし」
AKB48もそうですし、スザンヌだってもとは『OG』今号に出演している中野腐女子シスターズのメンバーですからね。
「「アイマスSP」でも、そんな人材をいかにして育て上げるかを体験してくださると嬉しいですね!」
「アイマスSP」でアイドルを目指す女の子たちと触れ合って、ユーザーには楽しさと苦しみ、そして癒しを感じてほしいですね!
「このソフトが日常の清涼剤になってくれると最高ですね。やっぱり、女の子が歌って踊ってって、かわいいし華やかじゃないですか」
日頃、上司やなんかに怒られてヒーコラ言ってる人には是非オススメですね。
「まぁ、プレイ中にアイドルにこっぴどく怒られたりもするんですけどね(笑)」