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全世界で通算1000万枚以上のアルバム・セールスを誇る『MEGADETH(メガデス)』の、伝説のギタリスト、マーティ・フリードマンさんの『OG』登場! これはもう奇跡です……、奇跡以外の何ものでもないですよぉ!! いやぁ、まさかお会いすることができて、しかもインタビューするなんて夢にも思いませんでした。
「いいじゃん! 楽しみだよ(満面のマーティスマイルで)」
おぉ、早速マーティさんの『いいじゃん!』を頂けるなんて!! ズバリ最高です。今回は『語学号』ということで、マーティさんの音楽感をフィルターに、語学の楽しさみたいなものをボンヤリとユーザーに伝えることができればと、これまたボンヤリ考えております。
「いいよぉ! 楽しみです」
まずはホントにベーシックなところなんですけど、世界レベルのスーパーギタリストがなんでまた日本なんかに住んでるんですか?
「ホントにベーシックな質問だよね(笑) 日本に住んでもう4年くらいになるかな。ボクはね、昔から日本の音楽に興味があったんですけど、90年代の後半ぐらいからJ-POPにすごくはまったんですよ。メガデスのプロモーションで、だいたい年に2〜3回くらいのペースで日本に来てたんですけど、その度に山ほどのJ-POPのCDを買って持ち帰ってたんですよ。で、聴けば聴くほど大好きになって、J-POPみたいな音楽をやりたくてしょうがなくなってきて、やりたければ住むしかないかなって思って、日本に住むことを決意したんです」
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日本に住まれた理由はJ-POPだったんですか! ちなみにマーティさんのスラッシュな心を奮わせたJ-POPというのは?
「B'zとかZARDとかですね(キッパリ)」
び、B'zにZARDですか!!
「あとは浜崎あゆみとかglobeとか、まぁ王道系かな」
J-POPにも王道とかっていう概念が存在するんですね。
「あと、最近のお気に入りでいえば倖田來未とか平原綾香。完全メイド宣言とかもいいじゃん!って感じですね(ニッコリ)」
秋葉原のメイド喫茶で働くメイドによる音楽ユニット、完全メイド宣言までチェックされてましたか! メガデスはもちろんのこと、スラッシュメタルとスケボーで青春を謳歌し、30過ぎても人生がクランチしているボクとしては複雑極まりないアーティスト名ばかりで涙が止まりません。
「でもね、 J-POPってスゴいんだよ。それって日本人が一番知らないことだよ。J-POPの持つメロディーには、アメリカとかには絶対にない素晴らしい要素がたくさんあるし、楽曲の中のメリハリとかなんて超スゴいし、全てにおいて洋楽なんかにはない良さで溢れていますよ」
でも、日本の音楽シーンっていうのは海外の音楽の模倣というか、マネって言われてる部分もありますが?
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「ありえなーい!! J-POPでアメリカとか海外の音楽に似たものはないですよ! そんなの一点もない(断言)」
しかしボクたち日本人からするとですね、たとえばHIP HOPっぽい曲なんかだと、やっぱり英語じゃないと合わないんじゃないかって。日本語でやっているのを聴くとなんか違和感があったりするんですよ。
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「その考え自体がボクにとっては違和感そのものですね。日本のHIP HOPでオリコンなんかに入ってくるような曲は、だいたいが大サビにいくと完全にJ-POPの歌謡曲的なメロディーになるじゃないですか。ああいうニュアンスって日本のオリジナル。聴きやすくなるようにちゃんと調整してある。あの日本的なメリハリこそがJ-POPの醍醐味なんですよ。まぁ、たしかにラップとしてはめちゃくちゃ低カロリーラップではあるんだけど」
低カロリーラップ(笑)
「でもね、本場のギャングスタラップとかなんてリズムに乗せて喋ってるだけだし、アメリカ人のボクが聴いてもライムはスラングだらけで意味わかんないし、人種問題や人生的なメッセージが多いホンチャンのアメリカのラップとかとは比較するものじゃないし、できないですよ」
つまりラップとしての目的地がまったく違うということですか?
「そうそう、その通りです。だってさ、kat-tunだってラップしてるんだよ、それだけでももう別物でしょう(苦笑)」
アハハハハ! たしかにそうですね。
「もちろん、アメリカ人のラップファンはそういったのを聴いても『これは?』って思うと思うけど、日本だけじゃなくてさ、ドイツでもフランスでもみんな自分の母国語でラップしてる。だって、全部英語だと意味が伝わんないじゃん。だから違和感ってのはボク的にはあまりないですね」
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ではロックの世界ではどうですか? 全てとはいいませんが、やっぱりロックは洋楽じゃないとっていう考えは根深いです。
「でもさ、日本の演歌にだって歪んだツインリードギターがしっかり入ってるじゃん! 石川さゆりさんの『天城越え』なんてアイアン・メイデンばりのツインリードギターですよ」
マーティさんからすれば、天城越えはNWOBHM(ニューウェイブ・オブ・ブリティッシュヘヴィメタル)の重鎮、鋼鉄の処女アイアン・メイデンですか!!(笑)
「アイアン・メイデン以外の何ものでもないよ。ギターも歪んでるしね。で、そんな歪んだギターの音を日本じゃお婆ちゃんが聴くじゃん、お爺ちゃんも聴いてるじゃん。アメリカのお婆ちゃんとかお爺ちゃんなんて、歪んでるギターが入った曲なんて絶対に聴かないよ、ありえなーい!」
まったく聴かないんですか?
「 聴かないよ。歪んでるギターなんて完全にNG、みんなゲロッちゃうよ。日本人ってさ、気づいてないかもしれないけど、幅広い年齢の人が歪んだロックテイストのギターに体が慣れてるよ。これはもうホントにアメリカ人からしたら不思議なことだよ。演歌もそうだし、アイドルのポップスにもゴリゴリに歪んだメタルギターが入ってるし」
アイドルの曲にもゴリゴリのメタルギターが入ってますか!
「ゴリゴリ入ってますよ。アイドルのポップスとかだけじゃなく、R&Bっぽい曲とかにも入ってるし、バラードのギターソロなんてまさにメタル。でも、海外はそんなギターが入ってるのはメタルとかハードロックな音楽だけですから。そういえばね、ちょっと前に鈴木亜美ちゃんとツアーしたんですけど、スタッフは全員ゴリゴリのメタラーだったなぁ(笑)」
鈴木亜美ちゃんもゴリゴリでしたか! そんな亜美ちゃんバンドのギタリストとして、マーティさんは念願の紅白歌合戦への出場(2005年)も見事果たしましたよね!
「はい、ありがとう(満面の笑みで)。ボクは紅白の大ファンですから、ホントに長年の夢でしたし、夢が叶ったなぁって。心の底から嬉しかったですね」
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メガデスの中心人物だった方の夢が紅白出場だったというのもなんだか衝撃的なんですけど、そんなに紅白って魅力的ですか?
「魅力的ですよ! だってね、紅白って子どもからお婆ちゃんやお爺ちゃんまでが一緒になって見る歌番組でしょ、そんな音楽番組、アメリカには絶対にないよ。紅白は音楽的にホントに興奮する現象だよ! MTVのミュージックアワードですら、多分15才から32才ぐらいの人たちだけしか見てないですから」
たしかに、紅白って期待の新人から超大御所、ロックから演歌まで幅広いジャンルのアーティストが同じステージに揃い踏みする不思議な空間ではありますよね。
「そうそう。ゴリゴリのロックも時々だけど入ってるし、ドが付くポップスや泣けるバラード、サブちゃんみたいな超大物なんかが歌い上げる往年の演歌とかまでが全部同じステージで共存してるんだもん。これはスゴいことですよ、アメリカなんかには絶対にない現象だよ(大炎上)」
サブちゃんと同じステージにマーティさんが立ったってのもとてつもなくスゴいことですよ。
「嬉しいですよね。日本人のアーティストでもなかなか出場することができないステージに、ボクみたいなわけのわからない日本語を喋る外国人が出場できたのは奇跡ですよね! 紅白最高!!」
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どこかのヌルヌル柔道家じゃないんですから(笑)。で、サウンド面については十分わかったんですけど、歌詞という部分についてはどうですか?
「日本語のですよね? ある程度は詳しいんだけど、サウンドに比べたらそんなに詳しくはないんだよね。だって、歌詞って抽象的なものですから、逆に“いい歌詞”になるほど難しい。どちらかといえば、ボクはシンプルな日本語の歌詞が好きですね」
ちなみに好きな歌詞っていうのは?
「あややですね(即答)」
ま、松浦亜弥ですか!
「あややみたいにクレバーでキュートな歌詞は最高に超好きですね。ハートにキューンってきますよ(ニンマリ)」
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あややはクレバーでキュート(笑)
「かわいいよね! あとは少年ナイフが超好きです。彼女たちの歌詞とかも大好き!! かわいい日本人の女の子がお揃いの衣装を着てラモーンズみたいなシンプルなパンクロックをやっているってことだけで完璧。彼女たちが歌う日本語の歌詞もシンプルでわかりやすかった。少年ナイフはボクが日本語を理解したいって思うきっかけのひとつを作ったバンドかもですね」
少年ナイフがきっかけだったんですか?
「そうだとも言えますよ。少年ナイフを聴いて『ボクも頑張れば日本語ってわかるのかもしれない』って思った。だってさ『私はアイスクリームが大好き〜♪』って、こんなにシンプルで外人贔屓な日本語の歌詞ってなかなかないよ。思えば最初に自分ものとして身に付いた日本語って『私はアイスクリームが大好き』って文章だったかも(笑)」
アハハハハ! ちなみにいつ頃から本格的に日本語を勉強され始めたんですか?
「メガデスをやってた頃、90年代の半ばぐらいからなんですけど、ツアーって移動が多いんですよね。で、その空いた時間を使って色んな日本語のカセットを聴いたりとか、書き取りの勉強とか、基本は通信教育ですね」
通信教育だったんですか!
「ですね。でもそれだけじゃなかなか身に付かないんですよ。でね、日本でのプロモーションはほとんどボクがやってたんですけど、『このままじゃいけない』って思って、『これから日本でのプロモーションは全部日本語でやる、取材も全部!』って勝手に決めちゃったんですよ、全然喋れもしないのに(苦笑)」
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恐縮ですが、そりゃまた迷惑な話ですよね(笑)
「ホント迷惑だよねー。スタッフとかレコード会社の人とかにもスゴく迷惑をかけちゃったと思うんですけど、みんな驚くほど協力してくれてですね、おバカな間違いを繰り返しながらも一生懸命頑張りました」
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ちなみにおバカな間違いというのは?
「もんじゃ焼きを食べに行ったときの話なんですけど、その頃は今と比べたら全然喋れなくて、でもなんとかコミュケーションを持ちたかったから何度も『私はもんじゃ焼きを食べるのが大好きです』って一生懸命話してたんですけど、どうやら間違ってたみたいで。“もんじゃ”って部分がなぜかマ●●ってなっちゃってて、ずっと『マ●●を食べるのが大好きでーす』って(苦笑)」
アハハハハ!(一同大爆笑)
「しかもそれを言っちゃってたのが偉い人の奥さんだったんですよ。その奥さんに『マ●●を食べるのが大好きでーす』って何度も何度も……、しかも二人きりの状態で(笑)」
なんてストレートな誘い方をするアメリカ人なんだって思われたかもですね(笑)
「だよねー。そんなつもりはもちろんないんですけど。あとはね、焼きそばを食べに行ったときなんですけど、ボクはもやしが大好きで、焼きそばの上にもう少しもやしをのせて欲しくて、店員さんに『“肥やし”をくださーい、もっと“肥やし”をくださーい』って、肥やしってウンコですもんね」
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アハハハハ!(一同さらに大爆笑)
「あと、覚えた言葉ってとにかく誰かに言いたくなるんですよ。でも会話の4分の1ぐらいしかわかってないものだから、その言葉が実は内緒事だったりしても全然わからないわけですよ。で、言っちゃったんですよね、『●●さんは今度別の雑誌で働くんですよー』って色んな関係者に」
うわちゃー、それは業界的にタブー中のタブーですねぇ(苦笑)
「でもね、当時のボクとしたら『文章が正しく言えるよ』ぐらいにしか思ってないわけですよ。『●●さんは別の会社に移って別の雑誌をやるんですよー』って、それがどんな被害を生むってこともわからずに。まぁ色々ホントに迷惑をかけました(笑)」
そんな失敗を重ねたからこそ今があるわけなんでNO問題ですよ。日本語って漢字にひらがなにカタカナにと、3つのスタイルがクロスオーヴァーしている世界でも稀な言語なわけですけども、覚えるのは難しくなかったですか?
「もちろん難しかったけど、それこそが日本語のチャームポイントですからね。頑張る刺激にもなるし、覚えた後の達成感は半端じゃない。街を歩いててもさ、看板の字が読めないと街が楽しくないじゃん! だからもっともっと知りたくなる、 本とかマンガとかでも『これどんな内容なんだろ』って思うだけで“覚えたい”というきっかけに繋がるわけだし、それを読むことによって難しい漢字が1個でも多く読めるようになったらさらに最高じゃん!」
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日本語習得のために日本の本やマンガとかも読まれたんですか?
「『みこすり半劇場』で決まりだね(即答)」
アハハハハ! 岩谷テンホー先生のちょいエロ4コマですね(笑)
「最初は『4コマでわかりやすいかも』って思って手に取ったのがきっかけですね。で、だんだんと読めるようになってきて、内容を理解できるようになったら、その笑いのセンスがボクにピッタリだったんだよね。もうズキンってきゃったよ。エロセンスもアメリカとかのエロセンスなんかとは違って知的だしね」
みこすり半劇場ってアメリカ人から見ると知的なエロセンスを持つマンガだったんですね!
「ですよー!。だってね、アメリカのプレイボーイかなんかに掲載されてるようなジョークマンガなんてもう全然センスがないしおもしろくもない。でもみこすり半劇場は笑いのセンスがあるんですよ。めちゃくちゃかわいい女の子が犬とキスしたら、その後おじさんがヒョコッと現れて、その犬におもいきりキスするとか」
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テンホー先生の必勝パターンです(笑)
「でも、アメリカには間接キスなんて概念はありえなーいだからさ、そのセンスがまったく100%伝わらないんですよ。説明したとしても『どこがおもしろいの?』って絶対に理解されないと思う。かわいい女の子がお風呂から上がったら、その後おじさんがヒョコッと現れて、お風呂のお湯をガブ飲みするとか、もうホントに最高におもしろいですよ」
たしかに最高ですが、アメリカ人には通用しなさそうですね。
「多分ドン引きですよ、完全にシーンってなっちゃう。でもボク的にはグっときたわけで、もっとみこすり半劇場の世界観を知りたいって思って、マンガの中でわからない言葉や漢字があると辞書を引いたり人に聞いたりして覚えて、今じゃみこすり半劇場は全然問題なく読めますよ」
みこすり半劇場を読むために辞書を引いてたってのもスゴい話ですよね(笑)
「興味があるものがないとですね、言葉なんて、覚えることはできても身には付かないですよ。ボクは基本的に知りたくなければ何もしないし、そもそも勉強なんて好きじゃないしね。でも、漢字やひらがな、カタカナの読み書きはスゴく大事にしてましたよ。書けば書くほど日本語の美しさが理解できるし、読めば読むほど日本語の奥ゆかしさが見えてくる。日本語はとても魅力的ですよ」
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日本語の魅力って具体的にどんなところですか?
「英語みたいに直接的じゃないところ、相手が嫌な気分にならない話し方や言葉がたくさんあるところですね。例えば『今日は空いてる?』って嫌いな人に聞かれたとして、『いや、今日はアレだからちょっと……』って答えるとするじゃないですか、アメリカだったら『アレってどういう意味ですか』ってなっちゃう。でも、日本だったら『アレ』だけで通じるでしょ。あなたが嫌いだからとは言えないけどオファーは断りたいってときでも『アレ』で通用する。もうホントにスゴく便利な国語だと思いますね、あとはそうそう、『申し訳ございませんが』って言われたの後はなんだか怖いよ(苦笑)」
『申し訳ございませんが』ってへりくだられた後には必ず何かが待ってたりしますからね。
「『申し訳ございませんが』の後には絶対に聞きたくないこと、自分にとって超悪い爆弾発言が飛び出してくる可能性が高いですよ。『申し訳ございませんが……、今日はノーギャラです』みたいなね。英語にはね、そんな回りくどい文法は絶対にありえないんですよ。でも、人間関係みたいなものを良くしていくことを考えたらとてもいい文法だと思うし、回りくどくて遠回りな表現なのに、言いたいことや目的はしっかりと伝わるなんてホントにスゴい。英語もそういう形だったら喧嘩とかなんてきっとなくなりますよ」
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英語に日本語的な奥ゆかしさがあれば、もしかしたら世界から戦争がなくなるかもしれませんね。
「そう! その通りだよ。アメリカも世界の平和のために国語を見直してほしいって本気で思うよね。あと、日本語には“私”とか“あなた”って意味の言葉がいくつもあるでしょ? あれもチャームポイントのひとつですよ。環境や状況によって自信を指す表現や相手を指す表現を変えなくちゃいけないってスゴく難しいよ。普通の外国人だったらここで日本語を諦めるよ。ちなみに、そういうのってどんな基準で決めているんですか?」
プライベート上での目上の人にはボクとか、上司だったら私とか、同い年の友達や後輩だったらオレとか、そんな感じですかね。
「ワオ! これはホントにめちゃくちゃおもしろいよ。アメリカ人はそんな深くてめんどくさい計算なんて絶対にできないですよ。だって、それって無意識でやってるわけでしょ? 『この人にはオレかな?』とか『この人にはボクかな?』なんて考えながらやってないでしょ?」
まったく考えてないですね。
「スゴいことですよ。英語には尊敬語とか謙譲語なんてものはありませんからね。相手が友達でも恋人でも社長でも全部“you”ですからね(苦笑)。色んな表現の中にもたくさんの段階があって、幅広い意味を持った言葉、日本語はホントに美しい国語だよ。それなのになんでみんな英語英語って言うのか全然わからない。ハッキリ言って、英語なんて習わなくても全然大丈夫ですよ、日本人にはもっと自分の国の言葉を、美しい国語を愛してほしいですよ」
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その“言葉を愛する”という部分が日本の英語教育に絶対的に足りないものなのかもしれません。
「その通りだと思いますね。ボクはね、日本人がなぜ“生きた英語”を話せないかって原因、悪いけど全部わかりますよ。ボクの日本語は日本人に伝わってるし通じてるけど、はっきり言って文法はメチャクチャじゃん。だって文法なんて全然気にしてないもの。もちろん、正しい文法をちゃんと使えるようになりたいなって思うけど、『話したい』って思うなら、まずは文法より単語だと思うんですよ。例えばね、救急車を呼ぶときに難しい文法なんて必要ないでしょ? でも救急車って単語は知っておかないとダメじゃないですか」
たしかにその通りですね。
「でしょ? 『ください! 呼んで! 救急車!!』で通じるじゃん。大げさに言えば『救急車!』だけでも通じるじゃん。だけど日本の英語教育って細かい文法ばっかりだよ、ホント、ボクでもわからないようなマニアックでマイナーな文法だらけ」
日本の英語教育ってマーティさんにもわからないような文法を教えてるんですか?
「ですね、もうマニアック過ぎ。はっきり言って無駄ですよ。複雑な過去形とか、関係代名詞とか、あんなのアメリカ人でも一生使わないし、別に知らなくても大丈夫。もちろん、This is a penぐらいの基礎的な文法は知っとかないといけないけど、そのぐらいで全然問題ですよ。大事なのは細かい文法なんかよりも単語。単語をたくさん知ってるほうが会話もカラフルになって絶対に楽しいし、全然通じるし、通じることとによって上達していくと思いますね」
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でも、英語を話したいと思ってるほとんどの日本人は「とにかく早くペラペラになりたい」と願うものですよ。
「ペラペラにもいろいろありますよ。例えばね、英語がスゴく流暢で、アメリカ人もビックリするほどの流行語やスラング、ギャル語なんかを交えて話す外国人がいたりしても、多分その人は全然尊敬されないですよ」
それはなぜですか?
「もちろん、その人の言ってることは理解できるし、情報もたくさん詰まってるけど、そういう人ってだいたいが意見や考えというか、目的みたいなものがまったく見えないんだよね。その人でなくてもいいというか、その人にしか言えないことってのが大事。ギタリストでもそう。ただ早いギタリストなんてたくさんいるでしょう。でも、そこにオリジナルなものがなかったら全然リスペクトされないよ。言葉数や文法なんて大切なことじゃない、大事なのは言葉数が少なくても日本人として文化やプライドとか、そういうものを感じさせてくれる言葉なんですよ。大丈夫! 英語なんて勉強じゃないんだから」
なんだか英語を覚えてみようかなって勇気が湧いてきますよ!あとはやっぱり環境でしょうかね。
「英語がなぜ必要なのかっていう目的みたいなものをしっかりと持って、英語しかない環境に足を踏み入れないとダメかなって思いますね。ボクは明確な目的を持って日本に来ましたし、日本の物に囲まれた環境で、日本語しかない状況の中に飛び込んだからこそ、まだまだですけど、ここまで日本語を話せるようになったと思いますね」
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マーティさんの底なしの日本語欲みたいなものを駆り立てる原動力はやはり音楽ですよね?
「その通りです! ボクはミュージシャンだから、音楽が作りたい。だからこそ、音楽を作る上で必要な日本語、ボクの音楽を幅広い人たちに伝えるための日本語、目的があるからこそ必要なものに真剣になる。日本語を愛して、たくさん話せるようになることは全てボクの音楽のためですから」
マーティさんのお話を聞いていると、アメリカとか日本とか、そういった国境みたいなものって音楽にはないんだなぁってあらためて感じますよ。
「ボクは政治的なことはサッパリなんだけど、どんな音楽にも国境なんてものはないと思うし、それだけは断言できますね。特に日本にはそれを感じます。ほとんどの国は自分の国の音楽しか聴かないけど、日本って国はホントに幅広くて、アメリカやイギリス、ヨーロッパなんてもちろんで、アフリカの音楽とかラテン語の音楽とかなんでも聴いてるでしょ。ボクはそのなんでもあり的な部分がJ-POPの素晴らしさを生んでいるひとつの要因だと思うし、そういった“なんでも受け入れる”ってスタンスが日本という国が持つ最大の魅力だと思いますよ」
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でも、日本文化が持つ魅力って、案外日本人には見えずらかったりするんですよね。
「見えないなら教えてあげますよ。日本って国の魅力はですね、他の国から受けた影響の中からベストな部分を抽出して、そこから悪い部分を全て排除して、いい部分だけを根こそぎ取り出して、それを完全なオリジナルに仕上げるところですよ」
なるほど! でもそれってマーティさんのギターサウンドにも通じることなんじゃないですか?
「そう言ってもらえるとホントに嬉しいですね! メガデスに入る前、まだハワイにいた頃の話なんですけど、初めて日本の演歌を聴いてとても衝撃を受けたんですよ。『なんて表情が豊かな声なんだろう』って。でも、日本語なんて当時はサッパリなわけですし、もちろん歌詞がどうなってるのか、何を歌ってるのかなんてわからないものですから、ヴォーカルラインをギターで完コピして、演歌の感情を研究してみたんですよ」
演歌独特の歌い回しをギターで分析されたんですか?
「そうですね、周りのみんながヴァンヘイレンなんかを完コピしてる間に、ボクは美空ひばりさんや小林幸子さん、八代亜紀さんに都はるみさんという演歌界の大物の曲のヴォーカルラインを、一生懸命ギターで完コピして、都はるみさんの独特なヴィブラート、八代亜希さんのスキャット風な歌い回しと泣きのメロディー、小林幸子さんの強烈なこぶし。細かいテクニック、微妙な部分まで全部ギターで表現できるように努力して、自分のサウンドもバッチリ取り込みました。多分こんなことしてるギタリストなんていないと思うし、今ではそれが武器というか、オリジナルな秘密兵器になってますね」
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なるほど! だからマーティさんが奏でるギターって、ギターの音ってだけじゃなくて、なんだか言葉みたいな感覚で耳に入ってくるんですね。
「ホント!? そんな感じでボクのギターがみんなに伝わってるとしたらこんなに嬉しいことはないですよ! 感情をまるまる剥き出したようなサウンドをこれからも目指したいし、ボクの音楽が世界共通の言葉みたいな存在になれたら最高じゃん! って感じです」
そうなることを心から祈ってますね。さて最後に、マーティさんの日本でのこの状況って、実際どう思われてるんですか?
「はっきり言ってこんなつもりじゃなかったですよね(苦笑)。勘違いしてほしくはないんだけど、ボクは別に日本語ペラペラの外国人タレントになりたいわけじゃないです。音楽が最優先です。でも、ボクは自分の音楽をたくさんの人が聴いてくれるためだったらなんでもやろうって、音楽のためだったら、信じられないほどクレイジーなこともこれからはしなきゃいけないって思ってます。だからどんどんテレビにも出るし、次から次へと来るオファーも全部こなしていこうと決めてますよ。色んな仕事に囲まれることによって、ボクの音楽も成長するだろうし、自分自身の教育にもなると思います。 これからも頑張ります!! みなさんも、美しい言語を持った素晴らしい国、日本を愛して、日本人であるということに自信を持ってほしいですね! 」
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