From:OCN 2023.4 Vol.139

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From:OCN 2023.4 vol.139　にっぽん深掘り紀行日本最高峰「富士山」を知る　～世界から愛される日本のシンボルの姿～／クイズに正解するとJCBギフト券が当たる！

にっぽん深掘り紀行

今月のテーマ：日本最高峰「富士山」を知る　～世界から愛される日本のシンボルの姿～

にっぽん深掘り紀行とは？：身近な文化・なじみ深い著名人・広く愛される絶景…。「にっぽん深掘り紀行」は、毎月のテーマを深く掘り下げながら、日本各地の関連スポットをご紹介するコラムです。温故知新から見える新しい日本と、読んで味わう旅気分をあわせてお届けします。

日本最高峰と知られる「富士山」。古くから信仰の対象とされてきたほか、浮世絵やネイチャー写真など、芸術作品のテーマとして取り上げられることも多く、日本人の自然観や文化に大きな影響を与えてきました。また、縁起物であるとされており、日本で最も愛されている山といっても過言ではありません。3,776mとその高さまでしっかり覚えている方も少なくないでしょう。　2013年にはユネスコの世界遺産にも登録され、話題を集めました。今回は、そんな富士山の魅力を改めて深掘りしていきます。

■日本一の高さの理由■富士山ができたのは、いまから10万年ほど前といわれています。日本の山には、数十万年、あるいは100万年以上も前に生まれたものも多く、比較してみると富士山はまだ誕生してからそれほど長い歴史を持っているわけではありません。　そんな富士山が、現在とほとんど変わらない形になったとされるのは、1万年ほど前のころ。それまでに数百回の噴火が起こり、その都度、噴出された溶岩や火山灰などが降り積もり続けた結果、日本で最も高い山になったとされています。

現在は静かということもあり、富士山がまだ活動を続けている活火山というイメージはあまりないかもしれませんが、奈良時代から平安時代には幾度にも渡っての噴火の記録が残されています。最後に噴火したとされているのは、300年ほど前の江戸時代。「宝永噴火」と呼ばれる噴火活動が起こり、近隣地域の農作物に甚大な被害が出ました。　日本で一番高くなったことにも理由があります。富士山がある場所の地下は、「ユーラシアプレート」「北米プレート」「フィリピン海プレート」と三つのプレートが交差し、噴火活動がより活発になる可能性が高いのです。　実際に富士山では、幾度も山頂付近からの噴火が近い時期に起こったため、どんどん高くなっていきました。

■芸術の源泉にもなった富士山■世界的に知られ、日本のシンボルにもなっている富士山。その理由として挙げられるのは、富士山が単なる山ではなく、頻繁に日本の芸術作品のテーマとして取り上げられてきたことが大きく関係しています。　古くは平安時代に編纂された日本最古の歌集「万葉集」の中でも題材に選ばれ、とくに葛飾北斎の「富嶽三十六景」は、誰しもが思い浮かべる富士山に関連した作品でしょう。浮世絵からインスピレーションを受けたとされる世界的画家ゴッホなども、作品の中に富士山を取り入れたことがあり、その影響は大きかったことを感じさせます。　ネイチャー写真を撮る人なら、一度は撮ってみたい被写体の一つとされています。銭湯やお札の絵を思い浮かべる人もいるかもしれません。

見るだけでその存在感を強く感じられるのが富士山の大きな魅力です。実際に、東京スカイツリーや江の島周辺エリアなど、遠くからでも富士山を眺められる場所はそれだけでも話題になり、多くの人が足を運ぶスポットとなっています。他にも、新幹線や飛行機での移動中に富士山を眺めたことがある方も少なくないでしょう。　とはいえ、なぜそれほど富士山は魅力的で美しいとされているのでしょうか。美しいと思われる理由はいくつかあるとされていて、その中でも重要な要素といわれているのがその「形」です。

上空から見ると、富士山はほぼ完全な円錐形であることがよくわかります。そして、周辺の山々とつながっている「連峰」とは違い、単独でそびえ立っている「独立峰」であるため、横から見た際には左右対称の二等辺三角形に見えます。　また、富士山は中腹にも火口を持ちながらも山頂から大量の溶岩を流したこと、そしてその際に出た溶岩の粘度が比較的低くサラサラだったこと、そのような要因から現在の形になったとされています。多くの偶発的な要因が重なっていまの姿になったことも、人気があることと無関係ではないでしょう。

■世界遺産としての富士山■2013年には、ユネスコの世界自然遺産ではなく、文化遺産として選ばれたことも話題となりました。　その最大の理由とされているのが、「富士山は信仰の対象である」という点です。世界文化遺産に登録されたのも「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」という名称で、山そのものだけではなく、日本人の自然観や日本の文化に大きな影響を与えたことが登録の決め手となりました。　「信仰」というほどのものではないかもしれませんが、日本人にとって富士山は縁起物でもあります。「末広がりであること」や、「無事」「不死」といった語呂合わせから生まれた考え方とされますが、現在でも初夢の縁起物といえば富士山が思い浮かびます。　また、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」を構成している要素は富士山そのものだけではありません。富士五湖や、景勝地である三保松原（みほのまつばら）、富士山本宮浅間大社、登山道に至るまで、山梨県と静岡県にある25件もの場所が構成資産として登録されています。

■最高峰に挑む「富士登山」■その高さから諦めてしまっている方もいるかもしれませんが、実は日本最高峰の富士山とはいえ、登山の難易度はそれほど高くありません。　もちろん何の準備もなく気軽に登れるわけではありませんが、普段から登山をしていて富士登山のために長期間訓練をする、といった必要はありません。　まず、富士山には登山ルートが四つ存在します。その中でも比較的に登りやすいルートが「吉田ルート」です。富士登山初心者の定番ルートのため、最も多くの人が選ぶ道ですが、登山口である5合目から山頂までの所要時間は5?6時間ほど、下りは3?4時間ほどとされています。　朝から出発して一気に山頂まで登るプラン、昼から出発して山小屋で睡眠をとってからご来光に合わせて山頂を目指すプランなど、登り方もさまざまです。

ただ、世界遺産に登録された2013年前後をピークに登山客は減少傾向にあります。2020年には新型コロナウイルスのため、開山が行われず、2022年までの2年間は以前と比べると半分くらいの登山客しか訪れていない状況です。混雑が心配という方は、むしろ早いうちにチャレンジすることで快適な富士登山を楽しめるかもしれません。　日本が誇る名峰「富士山」。その雄大な姿は、日本のシンボルであり続けるだけではなく、新しい芸術のインスピレーションなどが生まれる源泉となることでしょう。見る・写真を撮る・登る……と、さまざまな楽しみ方で、これからも私たちの心を魅了し続けていくはずです。

富士山周辺の見どころ

富士山を見るのに適したスポットは山梨・静岡両県に限らず、他の場所にも数多く存在しています。富士山とともに楽しめるスポットを紹介します。

【富士五湖】山中湖・河口湖・本栖(もとす)湖・精進湖(しょうじこ)・西湖(さいこ)の五つをまとめて「富士五湖」と呼びます。全て山梨県側に位置していて、富士山の噴火でできた堰止湖(せきとこ)です。どの湖も富士山を近くから眺める場所として適していて、条件が良ければ湖に映る「逆さ富士」を見ることもできます。　中でも、本栖湖は旧五千円札や現千円札にも描かれている富士山を見られる場所として知られています。

【三保松原】静岡市の三保半島に位置している海岸です。松林や海岸線と富士山を一緒に見られるこのスポットは、浮世絵に描かれたこともある人気の構図での富士山を楽しめる場所として最適です。（アクセス）バス停「三保松原入口」から徒歩約15分

【伊豆大島】遠くから見る富士山は印象がまた違うものです。東京・伊豆大島から富士山までは、直線距離で約100km。意外に思うかもしれませんが、気候条件が良ければ富士山の姿をしっかり見ることができます。しかも、日本列島越しに沈んでいく夕日と富士山のコラボレーションを見ることができるのは伊豆大島ならでは。島への訪問中には、ぜひシャッターチャンスを狙ってみてください。（アクセス）東京竹芝桟橋（JR「浜松町駅」から徒歩8分）から高速ジェット船で約1時間45分、大型客船で約4時間10分

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FromOCNリニューアルのお知らせ　にっぽん深掘り紀行をご愛読いただきありがとうございました。次回号より「四彩夢紀行」としてリニューアルを予定しております。どうぞ楽しみにお待ちくださいませ。

次回は、2023年4月下旬にお届けの予定です。次号もよろしくお願いいたします。

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